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タイキさんと楽しそうに話していたアヤメ先輩に一目惚れしたのは入学して間も無い頃だ。タイキさんに先輩を紹介して貰うことから始め、先輩の好きな物を教えて貰い話題作りの為に必死で先輩の好みを覚えた。その甲斐あって僕達は二人で出掛けるまでの仲になっていた。

そして今日はアヤメ先輩が興味のあった映画を観たり、少しは良い所を見せようと思いゲームセンターで遊んだ。僕としてはデートと言いたい所だが、先輩はそんな意識毛頭無いだろう。仲の良い後輩の一人と遊んでいるだけの感覚だと思うし、僕の想いには全く気付いていないと思う。


「結構暗くなっちゃいましたね」

「そうだね…。門限もあるし、私はそろそろ帰るよ」

「なら家まで送ります。女性の一人歩きは危険ですから」


僕も男だ。下心が無い、と言えば嘘になる。


「心配無用、だよ。私みたいな奴、よっぽどの物好きでない限り襲わないって」


へらりと笑うアヤメ先輩。もう我慢出来ない。やはり先輩には直球に言わなければ伝わらないようだ。彼女の手を引いて路地裏に追い込み、肩を掴んで壁に押し付ける。


「ほら、アヤメ先輩一人じゃ何も出来ないでしょう?」

「ゆっ、ユウ君…?」

「先輩の言う“よっぽどの物好き”がすぐ傍にいるって考えたことはなかったんですか?」


先輩の瞳が揺れる。それでも怯えている様子は見られない。


「好きですよ、先輩。僕以外の奴に襲わせたりしませんから」


ここまで言ったんだから、良い加減気付いてよアヤメ先輩。



[13/03/18]
ユウ視点…だけど誰おま状態。紳士も結局は狼って話、になってるといいな。


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テーマ「人外ファンタジー」
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