デジモン達の生活があった場所は、今では焼け野原と化している。その場所にカイは立っていた。その手にはコードクラウンが握られており、自身の目的は達成されているが、その表情は暗い。


「どうした、カイ」

「…いや、なんでもない。今日はこのゾーンで休むぞ」

「了解」


銀色に輝くXローダーにメイルバードラモンを戻した後、カイは木の根元に腰を下ろした。

先程メイルバードラモンに問われ、なんでもないと返したカイだったが、それは単なる強がりに過ぎない。ゾーンに住むデジモン達の生活を一瞬で壊してしまった事に対する罪悪感が募っていたのだ。

更に、そんな非道な事をした自分を見てネネは軽蔑してしまうのではないか、その恐怖心もあった。いつの間にか溜めていた息を大きく吐き出す。頭の後ろで手を組んで横になり空を仰ぐと、そこには迫ってくる様な満天の星空が広がっていた。

――…ネネにも見せてやりたいな……。

思考が堕ちる寸前まで、カイの脳裏はネネが埋め尽くしていた。



***



「――…もう、どうして喧嘩なんかしたの?」

「……別に」

「ちゃんと目を見て話しなさい!」


子供の頃の記憶。まだカイもネネも幼い。全てがオレンジ色に染まった公園に二人の姿はあった。喧嘩をして、傷だらけのカイがネネに怒られている。彼自身、何が理由で喧嘩したかは覚えてない。


「…心配、したんだからぁ……!」

「ッ!」


そう言いながら急に大粒の涙を流すネネに、カイは動揺してしまった。まさか泣くとは思わなかったからだ。


「わ、悪かった!俺が悪かったって!」

「…ぐすっ……っも、もう喧嘩しない?」

「しない!絶対にしない!」

「…じゃあ、指切りしよっ……」


差し出された小さな手。カイも小指を差し出して、お互いの小指絡めて振った。


「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたらはーりせんぼんのーますっ。指切った!…もう喧嘩しないでね?」

「ああ、もうしない。だけど、」

「?」

「ネネを傷付ける奴は容赦無く倒すけどな」

「!…じゃあ、カイは私の騎士(ナイト)だね!ちゃんと私を守ってね?」

「仰せのままに、お姫様」


喧嘩の理由は覚えていなくても、輝く様な彼女の笑顔は今でも覚えている。

その笑顔を守る為に、カイは戦い続ける。





------(11/08/24)------
アニメでネネとユウが蝶々取りをしていた頃の年齢の話です。その頃のネネは無邪気な喋り方だったらいいなーっと思って書きました(・ω・)

主人公の性格はキリハと同じ様な、と書かれていたのですが……全然違いますねorz でも、敵に容赦無い所は同じです!←




戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -