神様は意地悪だ。
シンデレラも白雪姫も人魚姫も、王子様と運命的な出逢いを授けられたと言うのに、私は絶望的な運命を課せられた。それはまさに悲劇を通り越した喜劇でしかない。
私はお姫様達と違って彼と結ばれる事を諦めた。だってそうでしょう?敵同士が結ばれる事なんて有り得ない、否、有ってはならない事だから。禁忌を犯せば間違いなく私と彼は消されてしまう。
私は、反対の立場からただ眺めるだけでいい。
「――……エグザモン、ゾーンの殲滅を」
「了解した」
「ミオッ!止めるんだ!」
「ッ……また来たんだ」
何故か彼は私の行く先々に現れる。現れては身体を張って私を止めようと奮闘する。好きだから、その姿を見るのが余計に辛い。
「ミオがバグラ軍を抜けるまで、俺は何度でも止めて見せる!」
真っ直ぐな瞳に、私の心は射ぬかれた。このDWの誰よりも熱く純粋なその心に私は惹かれていく。
「私達は敵同士よ?第一、私がバグラ軍を抜けるなんて有り得な……」
「有り得る!」
「!」
「君の瞳が自由になりたいと訴えているのが分かるんだ。だから、俺が必ずミオを救ってみせる!」
どうして彼はここまで的確に人の気持ちが読めるのだろう。読心術でも会得しているのだろうか。
彼の言う通り、私は自由になりたい。自由になって、叶わないこの想いを彼に伝えたい。私がどんなに強く願おうと、彼がどんなに頑張ろうと、何も変わりはしないのに。それでも微かな可能性に縋る私は、弱い。
「ミオ」
「……始めて」
「ミオッ!!」
私の一言で、エグザモンはゾーンの殲滅を始めた。しかし、それを阻止する為にシャウトモンX4Kがエグザモンに斬り掛かって行く。勝敗は見えていると言うのに。
その戦いにより、いつしか2体が私の方へと寄り始めた。このままでは戦闘に巻き込まれてしまう。そう思った瞬間、手を引かれた。
「ッ!何をして……!」
「一旦ここから離れるんだ!」
「は、離してよっ!」
「嫌だ!」
躊躇い無くそう言った彼は、私の手を引きながら2体から離れる様にして走り続ける。痛い程強く握られた手に、不覚にもときめいてしまった。
「……っどうしてわざわざ敵を助ける訳……?」
「さっきも言っただろ?俺はミオを助けたいんだ」
「そんなの、いい迷惑よ」
そんな訳無い。凄く嬉しい。でも、それを言ってはいけない事位分かっている。だから、口から出るのは気持ちとは正反対の冷たい言葉。
「でも俺、決めたから」
「……?」
「ミオを助けて、幸せにするって」
「ッ……!」
彼はきっと鈍感で天然なんだ。そうじゃないと幸せにする、なんて簡単には言えないから。それが分かっていても頬に熱が集中していくのは不可抗力だ、きっとそうに違いない。
------(11/08/22)------
アンケートより、バグラ軍のジェネラルでタイキ夢。初めてタイキ夢を書いたんですけど…口調がイマイチ掴めてないですね(´`;) ヒロインのパートナーがエグザモンなのは気にしないで下さい← 殆ど出ないと思うので(爆)
時間軸がズレている微パラレルです。