SS【 1 】


世界は息をするのをやめた、のあと







「さて、堅苦しい話も終わった所で、食事にしましょうか」

「あ、ありがとうご…」

「………」


じと…とした目を、メフィーに向けられた。
あからさまに、明らかに不満げな表情で。
しかも動きまで止まっている。
お腹すいた。けれど、多分今のままでは動いてすらくれない。
こびりついた敬語を、そんな直ぐに直せるものか。
文句を口にする事は無く、どうにか言わなければと口を開いた。


「あ、りが…とう」

「いえいえ。…そうですねぇ…何か食べたいものあります?もんじゃとか」

「……じゃあ、もんじゃで…」


よし、何とか妥協して貰えたようだ。
内心で汗を拭う。
しかし訊いておいて何故もんじゃを提示してくるんだ。
もんじゃ食べたいのか。
別に良いけど。良いけど食べたいなら普通に言え。
やっぱり文句は言えないのでぐっと堪える。


「そうですか!では直ぐに準備させますので」

「…はあ…」

「何か言いたげですね」

「いえっ……あ、ううん、何でも」


眉間に皺が寄ったのを見て慌てて訂正した。
もう既に笑みが戻っている。
くそ、細かいな…!


「言って下さっても構いませんよ☆」

「え、そう…?」

「ええ!」

「じゃあ……もんじゃ食べたかったの?」

「ええ。」

「じゃあ言ってくれれば良かったのに」

「言わない方が貴女の反応が面白そうだったので」

「……あとちょっと細かくないですか」

「敬語は疲れるので」

「自分は使ってるじゃない」

「黙らないとその口塞ぎますよ」

「もんじゃで?」

「ご希望とあらば」

「他に何か?」

「それはお楽しみですね」

「メフィーの唇以外ならくさやでも」

「……ちょっと傷付きました」

「それは良かった」






やっぱりもんじゃで。
(だって噛み千切られそう……)











タメに苦しむ話だった筈なんだけどなぁ!

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