05

「やさーしくーみまーもるーわたーしのーこのーてでーねむりなさーいーっ」

「………」

「笑ってたー泣いーてたー怒ってたーキミのことー」

「…」


「おぼえていーるーっわすれないーいーつまーでもーけっしーてー、until my life is exhaustfd」

「あのさあ…何でお前英語のテスト破滅的なのにそんなに流暢な英語な訳?」

「……さあ…」


だって好きなんだもの、この歌。取り敢えず理由はそれだけだ。大体、英語のテストが破壊的なのはお前もだろう花村くん。君が毎回討ち死にしてるのはもう隠しようのない事実だよ。その点私は英語が苦手なだけだからね、問題無い!と、誇らしげに言ったら月森このやろうに俺の足元にも及ばないな、なんて鼻で笑われたよ。畜生。お前が天才過ぎるんだ、これが格差社会ってやつなんだね。なんて世知辛い世の中なんだろう。どうもかなりの頻度で花村くんたちと放課後遊んでる様なのに、何故そんなに頭が切れるんだ…!あ、完二がいつも連れて行かれるって言うかね、着いて行くのが悔しいから今度着けてやる事にした。今日はジュネスのバイトのお手伝いさ!


「らっしゃーせー!」

「何処の魚屋だよ」


花村くん的にこれは魚屋のイメージらしい。八十稲葉お馴染みのガソリンスタンドをイメージしたのに、なんて事だ。この間雨の日に雨宿りがてら立ち寄った時に居たお兄さんがとても格好良かったのが印象に残っている。女の人かと思ったけど、少し年上の男の人ですごく驚いた。しかしあの人、晴れている日には全く見かけないんだけどどういう事なんだろうか。そう言うシフトの入れ方をしているのかな、――あれ、論点がずれた。


「ようこそお越し下さいまし。」

「天城ンとこでやれよそれは…」

「ビンゴォ!ピンポコピーン正解!」

「何ビンゴ?つかポコって何だよ!」

「花村くん私に構ってないで仕事すれば?」

「何でその原因に言われなきゃなんねーんだよ!」

「あ、こちらはジュネスの…」

「……!!」


はっはっは、ざま…違う違う、私は正論を言っただけじゃないか。いつまでもお喋りを続ける可哀想な店員1に対する正当な注意ですよ。何で急にしっかりしかたってお客さんが来て恥ずかしくなったからに決まってる。店員が騒いでたらおばさま方に「いやだわぁ、最近のコは」だなんて呆れられてしまうのは流石に勘弁願いたい(モロキンの耳にでも入ったら大惨事になること間違いなしだ)。そんな風に言われるのも多少は腹が立つというもの。それなら未然に防ぐ方が余程良い、私って冴えてる!ふう!


「あ、足立さん」

「何ィっ!」

「嘘」

「しんでください」

「ひでえ!」

「黙れよジュネスの…ゴミが!」

「どんだけだよ…!」

「花村くん、お前に足立さんの名前を呼ぶ価値は無い」

「ええー…」


嘘だと…私が今どれだけ足立さんに会いたいと思ってるんだ!大体バイトを引き受けたのだって足立さんがキャベツコーナーに来るかなあるんるん、って言うのを期待してやってるんだぞ!お馬鹿!その期待を嘲笑うかのような嘘…冗談じゃなくて嘘なんだ、ユーモアの欠片も無い!全く何て狼藉…!罰として今日の花村陽介ベの時給は私が貰う事にしよう。ああでも、息子だから安時給だったりするんだろうか。だとしたら、巻き上げるのは止めてあげることにする。


「何、百面相してるんすか?」

「それは君の所為……ってあれ。何だ、尚紀かあ。御免ね尚紀、君に言った訳じゃないんだ」

「はあ、そうすか…」

「って言うか、尚紀がジュネスなんて、どうしたの?」

「いや、ちょっと…」

「よう、小西弟!」

「尚紀です」

「スケベは引っ込め」

「何で其処まで辛辣なんだよ…!」

「それで、どうしたの?」

「え、何シカト?放置プレイ?」

「いや、あの……まあジュネスはもうどうでも良くなったんです、よ」

「ほう」

「先輩が今日ジュネスに行ったって聞いたんで…ついでに」

「え」

「か、買い物をついで…に…と思って」


う。…わぁああ何この可愛い生き物!?何どうしちゃったんだろうこれ!!だって私が愛でてる子(と大人、)は辛辣と言うか何となく疎遠な態度を取って来るのに尚紀は私のついでに買い物に来た、とそうはっきりじゃないけど言ったのだよ聞いていたかいそこのおばさん!背後でどんよりしてる花村くんはもう放って置こう、今は目の前の後輩が可愛くて可愛くて堪らない。所在無さ気に頭を掻いて、視線を彷徨わせて。ぐぅうう可愛過ぎる。抱き枕にしたい。純粋に、夏だけど。遂に私の努力が実ったんだね、皆愛でてるのにいつまで経っても辛辣(主に足立さん)な態度を取るから寂しかったんだよ実はね。でも尚紀は割と素直な反応してくれていたから、完二よりやっぱり弟なんだなあ、とか思ってたんだけど。やっぱり今は家も大変だしお姉さんも居なくなって寂しいんだろうなあ。


姉みたいに愛でよう
(それ位しか、出来ないからね)




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因みに最初のはP3のED

2011/09/23:加筆修正







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