身体が、痛い。ぼんやりと、回らなくなってきた頭で考える。 人なんていない、そう思い込んだ私が馬鹿だった。静寂の海に突然の銃声。その音に驚き、顔を向ければ船に乗り、猟銃を持った男が数人。 海に逃げようとした瞬間、後足を打たれた。更にもう一発。今度は脇腹を掠った。打たれた箇所が熱を持ち、激痛が走る。後足を引きずりながらも海に逃げ込んだ。その瞬間、今度は背中を打たれた。 海に逃げ込んだのはいいものの、足が上手く動かない。ただ沈むばかり。生々しい傷口からは血が流れ出ており、海水を赤に染めていく。 脳裏には、今までの短い人生の記憶が走馬灯の様に映し出されていく。いつ考えても、余り幸せとは言えない人生だった。それでも、白熊の姿で死ぬのは流石に嫌だ。 そんな、どうしようもない事を思いながら目を閉じた。 しかし、水を切る様な音と共に私は引き上げられた。 「………カハッ…」 「まだ息があるようだな」 うっすらと目を開ければ、人ともとれなくはない、異形の男が一人。私の前足を掴んでいるため、私を引き上げたのはこの男のようだ。 「お前も俺と同じ、か」 「…………?」 「まあいい。シャチ、治療室に運べ」 「ハイ、」 シャチと呼ばれた人の形をした鯱に担がれ、そこで私は意識を失った。 「起きろ、***」 「………みゃ!」 頭を思い切り叩かれ、私は目を覚ました。顔を上げれば館長が書類と思しき紙の束を持って立っている。 「寝てないで仕事しろ」 「うぅ……館長の鬼…!」 「そうか。当分ゲームは没収だな」 「酷い!」 喉でクツクツと笑う館長を見て、今見ていた夢を思い出した。 「館長ー、」 「なんだ」 「館長に助けられた時の夢を見ました。館長、覚えてます?」 「………さあな」 「嘘!?」 「そんな事より仕事だ」 そう言って、館長は持っていた書類を私の机に置き、部屋を出ていこうとした。 「館長、」 「今度はなんだ」 「……私は一度死にました。でも、」 貴方が私を生んだのです (101121.出会い編ということだったのですが、全然甘くなかったですね(汗) 出会い編は書く予定が全くなかったので、書けて良かったです^^ こんな幼稚な話で良ければ貰ってやって下さい(´`) くぅ様!企画参加有難うございました!) →res 連載の更新スピードがた落ちで申し訳ないです(泣)これからもグタグタに連載は進んでいきますが、飽きずに読んでやって下さい← これからもFoolを是非ご贔屓に(笑) この度は本当に有難うございました! |