50000hit企画 | ナノ
    



「ねえ、ドーラク」

「どうした」



静寂の中、口を開いたのは***だった。

彼女は、ふわふわとは程遠いベッドの上に寝転び、暇そうにしている。対してドーラクは、幹部らしく上に提出する報告書を書いていた。

***の呼び掛けに、ドーラクは手元から視線を逸らさずに応える。

ドーラクのそれに、***は少し不機嫌そうに顔を顰め、続けて言った。



「蟹が食べたい」

「蟹?俺の部下は絶対に食うなよ」

「食べちゃダメなの?」

「当たり前だ」



ドーラクが仮面越しにちらりと***を見れば、「面白くない」と言わんばかりの表情でこちらを見ていた。

しかし、手元にある書類の提出期限は明日の朝礼会議の時だ。書けるのは、仕事が終わった今だけの為、***をそのままにしてドーラクは止まっていた手をまた動かし始めた。

暫くして、ベッドの軋む音がしたと思えば、手元に影が落ちた。



「どうし……テメッ……!」

「ドーラク、私蟹が食べたい」



歩み寄った***が、いきなりドーラクを床に押し倒した。今は、彼女がドーラクの腹に跨がっている。突然***が訳の分からない事を言い出すのはいつもの事なので、ドーラクは特に抵抗しなかった。



「蟹なんて館長に強請ればいいじゃねぇか」

「ドーラク、ミソ詰まってる?」

「はぁ?何言ってんだお前」

「肝心な事忘れてない?ドーラクも蟹だって」



***のその言葉に、「そうだったな」とドーラクは内心頷いた。

長い間この姿になっていると、自分が唯の蟹だと言う事を忘れてしまう。トラブルメーカーとも言える***と一緒にいれば尚更の事で。



「俺を喰うか?」

「ドーラクが死んだら喰べてあげる。でも今は、違う意味で食べるから」



にんまりと、愉しそうな笑みを口許に浮かべた***は、ドーラクの制服を脱がしにかかる。

流石にマズイと思ったドーラクは、腹の上にいる***を押し倒した。



「調子に乗るなよ」

「人間が蟹に食べられるなんて、滑稽な話だと思わない?」

「今はクラゲだろ、***」

「そうだったね」



そう言って笑う***。ドーラクは溜息を一つ吐き、書類は期限通りに提出出来ないと悟った。







捕食者はどっち?







(110511.私が書きやすい様な話……との事でしたので、攻めヒロインにしてみました!全く攻めていませんが………(・ω・`)

時間をかけた割には、なんだかよく分からない話で申し訳ありません(´`;)

楼凛様!企画参加有難うございました!)




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