「………誰だ?」



二度寝から起きたら黒髪黒目黒スーツの超イケメンがいました。

確か私は架絃を送った後、コンビニでジャンプと菓子パンを買って家に帰った。ジャンプを隅々まで読んでから、もう一度自分のベッドで寝た。よし、ちゃんと覚えてる。鍵はしっかりかけたはずだし、そっくりさんの泥棒ではないよね……。まさかホントに、



「館長が来るなんて……」

「俺を知ってるのか?」

「え、ええまあ、」



寝る前に「誰か逆トリしてこい!」ってツイッ○ーで呟いたけどさ……。まさかホントに来るなんて思ってもみなかった。しかも大本命の館長が来るなんて、夢のよう……いや、もしかしたらこれはまだ夢かもしれない。



「痛っ」

「何やってるんだ」

「い、いえ夢のようだったので……」

「?」



頬を抓ってみたが、痛い。夢じゃない。夢じゃないんだ。館長が私の目の前にいる。



「館長ステキ過ぎる!三次元も捨てたもんじゃないんだね!」

「っ何して………!」



感極まって館長に抱き着いたら思い切り殴られた。やっぱり痛い。でも夢じゃない事が分かった。
ここは私の家なのに、館長がベッドに座り、その長い脚を組んでいる。私はと言うと、何故か床で正座している。それでも私は凄いニヤついてると思う。



「――で、お前は誰だ?」

「わ、私は坂本有架です」

「ここはどこだ?」

「ここは私の家で、貴方の居た世界とは違う別の世界です」

「はあ?」

「その証拠に、館長は完全な人間に戻ってます」



自分では気付いていなかったのか、首を傾げる館長に手鏡を渡す。館長を始め見た時、マスクをしてなかったからどこぞのイケメンかと思った。
驚いた様子だった館長は、私に手鏡を返して立ち上がった。



「話は大体分かった。だが俺が異世界に来た原因が分からない」

「まあ、私も起きてびっくりでしたけど」

「元の世界に戻りたくはないが、水族館はそのままだろう。俺のいない間に客を減らされては困る」

「と言うと?」

「元の世界に戻る方法が見つかるまで俺はこの家住む」

「ヤッター!!




「俺はこの家に住む」館長のその言葉に、私はガッツポーズをしながら立ち上がった。館長は煩いと一言、そしてまた私を殴った。館長の愛情表現は殴る事だと思って止まない私は嬉しくて仕方がなかった。それでも愛しのキャラに殴られて喜ばない人間はいないだろう。



「これからよろしくお願いします!」

「ああ、よろしく」



「館長がよろしくだなんてっ……!」と思いながら握手をした。やっぱり男の人の手は大きかった。でも私なんかより指が凄く細かった。これは館長だからかな?と思いつつ、鼻血を堪えるのに必死だった。











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