「ま、負けた……」

「ちょろいな」



館長の強さは異常だった。それは始めてとは思えない程。



「今日から俺の奴隷だな」

「今日"から"?!」

「当然だろ?」

「…………っ!!」



まるで新しい玩具を手に入れた子供の様な笑みを浮かべている館長があまりにも格好良すぎて言葉が出なくなった。……これじゃ私がMみたいじゃない!

丁度その時、チャイムが鳴り、リサイクルショップの人が訪ねてきた。一緒に2階の客室に行き、全て査定してもらった。

査定が終わり、出された買取金額はかなりの額で。勿論その場で買い取ってもらった。



「有難うございましたー!」

「……行ったか」

「はい。……あ、館長!面白いモノ見付けたんですよ!」

「ハァ?」



バタバタと階段を上がり、格段と片付いた部屋から開けてない箱を持ち、リビングへと戻った。



「じゃーん!ビデオカメラです!」

「……それで?」



館長の冷めた返答と視線を尻目に、新品の箱を開ける。



「館長との思い出を記録しようと思いまして」

「そんな事をして何になる?」

「ただの記録なので、気にしないで下さい」



自分でも分かるくらいニヤけながら、ビデオカメラを回す。画面越しには、嫌そうに顔を歪める館長。しかし、すぐに面倒臭そうな表情へと変わった。



「そんな事してないで、客室を片付けたらどうだ」

「あ!そうだった!」



ビデオカメラで館長を撮る事に気を取られ、片付けをすっかり忘れていた。

カメラの電源を落とし、掃除機片手に2階へと駆け上がった。

綺麗さっぱり物が無くなり、ベッドしか無い客室。スッキリした部屋の窓を開け、急いで掃除機をかける。

そう言えば、この部屋にはカーテンが無かった。それに、新しいシーツと枕カバーも無かった気がする。

一段落付き、一旦リビングへと降りた。



「少し出掛けて来ますね」

「何処行くんだ」

「新しいシーツと枕カバー、それからカーテンを買いに」

「……そうか」



館長は私に見向きもしないで、また別のゲームをしている。確かバ○オハ○ード……だっけ?ゾンビが出て来るゲームだった気がする。

テーブルに置きっぱなしの財布と車の鍵、それに壁に掛けていた館長のスーツをを持ち、家を出た。






    
       
      
    
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