まだ少しだけ肩で息をしながら、疲れきった身体を引きずる様にしてベンチに腰を下ろした。

少し向こうでは、同じユニフォームを着た選抜メンバーが個人種目の練習を一心不乱にしている。

私も先程まで同じ事をしていた。時計を見ればもう二時間近く練習をしており、脚は重い。歩いて帰るのは嫌だなーっとぼんやり考えていると、声をかけられた。



「お疲れ、イオン」

「あ、タイキくん。お疲れさま」



私のクラスメイトで、同じ選抜メンバーであるタイキくんが私の隣に座った。



「イオンって案外速いんだな」

「そうかな?タイキくんも凄く速いよね。監督が褒めてたよ」

「それを言うなら、イオンだって次の部長候補だって聞いたぜ?」

「えー、私が部長なんて有り得ないよ」



たわいのない話が続く。クラスメイトで、同じ選抜メンバーでも、彼とここまで話した事は無かったから、新鮮で楽しかった。



「あ、コレ飲むか?温いけど」

「え?あ、ありがとう」



はい、と渡されたスポーツドリンク。丁度喉が渇いていたから、有り難く貰って喉を潤した。



「また練習かぁ……」

「流石に走りっぱなしはキツイもんな」

「これで歩いて帰るのは地獄だよ」



冗談っぽく、笑いながらそう言うと、タイキくんが真面目に返して来た。



「それなら俺が背負って家まで送るよ」

「へっ?!」

「冗談だよ。さ、練習しようぜ!」

「もう、一瞬本気にしちゃったじゃん」



二人で笑いながら立ち上がり、トラックへと歩いて行く。



「……本気にしてもいいんだけどな」

「何か言った?」

「何でもない!ハードルで競走しようぜ!」

「いいよっ!でも、負けないんだから!」
     






いつだってまっしぐら
Title:微光
    






------(11/08/23)------
アンケートより。
クラスメイト/ほのぼの
と言う事だったので、陸上部員ヒロインとタイキの話にしてみました。
選抜メンバーは、陸上大会の学年選抜と言う意味です……(´`) 分かり難くてすみませんorz



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