「――…イオン様、イオン様!」

「っ……!」



草木も眠る丑三つ時。悪夢に魘(うな)されていたイオンはビショップの声によって夢から醒めた。

余程悪い夢だったのか、彼女の額には冷や汗が流れている。それに気が付いたビショップは、タオルを取りにイオンに背を向けた。



「行かないでっ……!」

「っ……イオン様?」



イオンはビショップの服の裾を掴みながら呼び止めた。裾を握るその手は微かに震えている。



「お願いだから…傍にいて……」



喉の奥から絞り出すように発せられた声。ビショップはこんなにも弱気な彼女を久々に見た。

彼はその命令通りにベッド横に片膝を突いてイオンと目線を合わせる。



「……ビショップ、」

「はい、何でしょうか?」

「…ビショップは…何処にも行かないよね……?私を…独りにしないよね……?」



不安そうな蒼の瞳がビショップを見詰めた。その瞳にはうっすらと涙が浮かんでおり、ビショップは彼女を安心させる為に口許に微笑を浮かべた。



「この命が尽きるまでイオン様にお仕え致します」

「ほ、本当……?」

「ええ、勿論です。何があろうともイオン様の御傍に」



その言葉に安心したのか、イオンの表情は柔らかくなっていく。そして更に近寄るようにと手招きをし、ビショップの首に腕を回した。



「約束、だから…ずっと私の傍にいて……?」

「…承知しました」       




眩しい未来なんて望んでいない
Title:postman
      




------(12/01/31)------
アンケートで意外にもビショップが人気なので書いてみましたが……どうも不完全燃焼(・ω・`)

因みに、ルークの血縁者?っぽいヒロインです← ルーク成り代わりでも良かったり……((蹴



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