絶体絶命とは正にこの状況を言うのだろう。

事の発端は私の下駄箱に入っていた手紙から始まった。不審に思いながらも封を切って中身を確認すると、

――…放課後、体育館裏にて待つ。

とだけ書いてあった。一見するとラブレターの様にも思えるが、差出人を見てそんな淡い夢は消え去った。

差出人は"あの"逆之上ギャモン……くん。

どう考えてもシメられる、絶対に。だって強面だし、髪赤いし、ヤンキーっぽいし、大きなバイクに乗ってるし、平凡な私とは相容れない人だ。

話した事は無いけど、睨まれた事ならある。必ずノノハと話している時に現れては私を睨んで来る。きっと彼はノノハの事が好きで、私が邪魔だから睨むんだ。絶対にそう、他には考えられない……!

だから今日こそ邪魔な私をシメて、ノノハに金輪際近付くなとか言われるんだ……。ああ、まだ死にたくない。死にたくないよ私。



「よ、よう……待たせたな」

「ッ…い、いえ、全然待ってない…です」



後ろから声をかけられ、驚きで肩が揺れる。ギャモンくんの顔が赤いような気がするけど、きっと夕陽に照らされてるからだと思う。いや、私が余りにも邪魔で、腹が立ち過ぎて赤いのかも……。スライディング土下座すれば許してくれるかな……。



「イオン……で、あ合ってる…よな…?」

「っ!は、はい…そうです!」



名前で呼ばれるとは思ってなかったからかなり驚いた。



「…あ、あのよ…イオンは……なんだ、その……。つ、つつ…付き合ってる奴とか…いたりすんのか…?」

「い、いえ…いません、けど……」



え、何この質問。まさか……いやいや、そんな筈は無い。だって私は今から彼にシメられ……。



「ま前から…イオンの事がす、す…すすす好き…でよ、ももし良かったら俺とつ…つつっつ…付き合ってくれねぇか……?!」

「……は…はい、」



勢いに押されてつい返事しちゃったよ……。でも、想像よりは怖くない人……かも。
     




体育館裏の告白
Title:リコリスの花束を
《懐かしきスクールデイズ 5題》

      




------(11/12/05)------
ギャモンは不器用で、全部裏目に出ちゃってますよね(´∀`) そんなギャモンと平凡ヒロインの話を書けたので満足です(^ω^)



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