よく『男は黒髪でストレートの長髪が好きだ』というものを聞く。
確かに黒髪は好みだけど、俺は短髪でちょっとクセがついてるくらいがいいねぇ。
湿気の多い日に広がるのが嫌だとか、そんなことを気にするのも可愛いじゃねぇか。

(まぁ本人にしてみれば問題なんだろうが)

それに髪が頬にかかってたり、少し汗ばんだ項に纏わりついてるところなんか、どうしようもなく欲情することがある。


「あの、赤林さん…」


しかもあれだ、なんか猫みたいで可愛い。
……そういやぁなんで癖っ毛を猫みたいだって連想すんだ?猫って別に癖っ毛じゃあねぇよな。
どちらかというと直毛…て、そんなことはどうでもいいか。
ようはほら、思わず触りたくなるような…


「赤林さん」


一見硬そうに見えるが触ってみると意外と柔らかい髪質だったり、さらさらと指を抜けていく心地いい感触だったりを味わってしまうと、引っ掻かれるとわかっていても手を伸ばしてしまいたくなるような…
嫌がってるのを引き寄せて、思いっきりわしゃわしゃと頭を撫でまくってやりたくなるような…


「手ぇ離せ、赤林…」





「ん?」


ドスの効いた声に正気に戻る。

ここは粟楠会事務所の会議室。
右には青筋を浮かべた四木の旦那。
その手には握りつぶされた書類。
俺の手は旦那の頭の上。
ちなみに今は幹部会の真っ最中。
周りには視線を逸らす幹部連中。
後ろにはガタガタと震える部下が数人。


「旦那…」


いつ四木の旦那がブチ切れてもおかしくない状況で、ああ殴られるだろうなぁと思いつつ、俺の頭は酷く冷静に次に発する言葉を打ち出していた。







「とりあえず、にゃあって言ってもらえませんかね?」









赤林の顔面に、四木の右ストレートが決まるまで、あと…――――


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