たまには、こんな夜でも
いつも、家に帰ると誰もいないのが普通で一人で冷えた飯を食うのが当たり前の日常だった。
でも、今は大好きな人が待っていてくれて、温かいご飯がある。そんな幸せが、今の日常なのだ。
「ただいま。」
そう、四木が言うと台所の方からおかえりと言う声が帰ってきた。
居間に入ると温かい味噌汁の匂いがした。台所を覗くと赤林が味噌汁を作っているところだった。
「旦那、もう少しで飯できるから。あっ、風呂沸いてるけど入る?それとも、お・れ(笑)」
「赤林さん、馬鹿なこと言わないでくださいよ。風呂と一緒にあなたの頭も湧きましたか?」
「沸いてないよ。旦那は酷いな。」
「じゃ、私、着替えてきますからね。」
私は、自分の部屋に向かった。赤林とこんな生活を始めたのは、つい最近だった。私が、ほぼ毎日残業で帰りが遅くまともにご飯が食べれなかったことを知っていた赤林が自分の家に来てご飯を作ると言い出したのだ。
着替えを済ませ、居間に戻るとテーブルの上に美味しそうな食事があった。
「旦那、ご飯できたよ。食べよう。」
私は、それに頷いて、いただきます。と言って食事を始めた。基本的に食事中は会話をしないで黙々と二人で食べるのだった。
ちなみに今日の献立はご飯と味噌汁に秋刀魚の塩焼きだった。質素ではあるが味は四木好みで正直、美味しい。
『ごちそうさまでした。』
二人で手を合わせ、食事を終えた。そして、手分けして片付けをした。その後は、二人でソファーに座ってくつろぐのが、日課になっていた。
今日は疲れた・・。もう寝たいな。と四木は思ったが、まだ、赤林と一緒に居たいとも思った。
「旦那、眠そうだけど寝る?だったら、おいちゃんそろそろ帰るけど。」
赤林はソファーを立とうとしたが、四木は引き止めるように赤林のワイシャツの裾を掴んだ。
「まだ、まだ帰らないで下さい。まだ、いて下さい。」
赤林はギョッとした四木が自分を引き止めることなんて今までなかったからだ。
「今夜は、傍に、い、てくださ、、い。」
四木は今にも寝てしまいそうな。勢いだった。
あぁ、もう!旦那かわいいよ。誘ってるようにしか見えないよ。でも、ここで襲ったら絶対1ヶ月以上、口きいてくれないよ。
赤林は、出来るだけ平静に努めて言った。
「わかったよ。じゃ、おいちゃん、旦那のこと寝室まで運んであげるね」
そうして、赤林は四木を抱き上げて寝室に消えたのでした。
あとがき
こあさんへ、相互記念に。満足していただけたか不安ですが、四木デレなかんじになるように頑張りました。