「ええ…!?考え事しながら歩いてたらここまで来た!?」
『この人も大概ドジだよね』
「こ、こら!雷士!」
雷士にも言われてしまう始末だったが、まったく以てその通りだと思う。
カイナの市場を散策しながら、シスイはヒナタにここまできた経緯を話した。
その話に驚いていたヒナタだったが、だんだんと苦笑していく。
いや、その反応で正解だと獅闇は大きく頷いた。
「でも、よくシスイちゃん一人でここまで来たよね。獅闇くんも雷くんもボールの中で爆睡だったんでしょ?」
なんかあったら、大変だったよ。
と心配してくれるあたり、ヒナタは本当に優しい子のようだとシスイは不謹慎だと思いつつも破顔した。
「ヒナタちゃん優しい。ありがとう。でも何ともなかったの、すごいと思わない?」
「いや、思うけど…」
ほやほやと笑うシスイに毒気を抜かれたヒナタはつられて笑う。
『なんていうか、マイペースそうな人なんだね、シスイさん?って』
「ああ…危機感がないというか、そういうところはヒナタ様と似ているのだろうか」
側にいた雷士と蒼刃も苦笑した。
そんなシスイの様子に獅闇も雷も頭を抱えたのだった。
それから彼女達はカイナシティを隅から隅まで遊び回った。
市場で買い物したり、博物館を覗いてみたり。
砂浜まで赴き、海で遊んでみたり。
なんだかんだと忙しかった彼女達にはいい息抜きになったのかもしれないと、お互いのポケモン達は思った。
だって、あんなにいい顔をしているのだから。
汚れることも厭わないで、ヒナタとシスイは砂浜に仰向けに寝転がった。
「いやーこんなにはしゃいだの久しぶり!雷士も蒼刃も楽しそうにしてたね!」
「本当に!うちの獅闇ですら何だか楽しそうだったもの。雷もすっかり雷士くんと仲良くなったみたいだしね」
ありがとう雷士くんとシスイは彼の頭を優しく撫でた。
『いや、別に…』
「なになに?雷士、照れてるのー?」
『うるさいよ、ヒナタちゃん』
ぺしっと尻尾で叩かれるヒナタ。
このやり取りにもすっかり見慣れた光景になるくらいシスイは充実した一日を送った。
新たな友達ができたことにも嬉しく思うし、何より獅闇も雷も雷士達と気が合うようで警戒心もなく溶け込んでいるところを見ると、シスイは余計嬉しさを感じた。
それはきっとヒナタも同じだろうと思う。
なんて言ったって、隣であんなに幸せそうに自分のポケモン達を見つめているのだから。
その様子に、シスイは一つ笑いを零し、ぎゅっとヒナタの手を取って握った。
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