「基本的に好きなもの入れていいと僕は思う!」
雷は早速そのレシピ本?を持って、キッチンに入っていった。
そして冷蔵庫を開けて、ゴソゴソと漁っていく。
中から取り出したのは玉ねぎやハム、卵など。
「確かご飯は昨日の炊いたやつが残っていたはずー…」
あった!と雷はタッパーに入った冷ご飯を俺に見せてくれた。
珀や海輝はマメだから、残り物もきちんとタッパーなどの保存容器に入れている。
現に冷蔵庫の中には作り置きしてあるおかずやビンに漬け込んであるピクルス、浅漬けが綺麗に並んでいるのだ。
そしてそれのどれもが美味しいことを俺は知っている。
「さ!青炎、始めよっか!まずは手を洗ってからねー」
雷は俺に海輝のエプロンを掛け、後ろの紐を結びながら、にこりと笑った。
なんだか、楽しみになってきて俺も雷に笑い返した。
* * *
「う、う、あずま、目が…」
「うん…玉ねぎって目に染みるんだよ…!」
初めて握る包丁は少し怖かった。
みじん切りなんて言葉も知らなかったけれど、
レシピ本に丁寧に説明が書いてあったおかげで俺も雷も迷わず切っていくことができた。
ただ、玉ねぎが目に染みるなんて予想外で涙が止まらない。
それでもなんとか切り終わり、他の具材も同じように切っていった。
「雷、上手」
「ホント?青炎も初めてなのに上手だよ!珀たちに見せたいくらいだね!」
そう言いながら雷は器の中に卵を割っていく。
パカッと綺麗に割っていく光景に感動して、俺もと卵を一つ手にとった。
「あ、青炎!力入れすぎたらダメだよ…って」
「ぐちゃ、ぐちゃ」
「あはは!カラまで入っちゃったね!待って、僕が今お手本見せるね」
そう言うと、雷は卵割りだけは得意なんだと俺にもわかるようにゆっくりと卵を割ってくれた。
「どう?わかった?そうそう…親指を入れて、静かに…」
「…!」
雷の言う通りにそっと力を入れすぎないように割ってみる。
すると、さっきよりは断然キレイに割ることができた。
器の中で卵がキラキラしているように見えて、それだけが特別に見えてくる。
「すごいすごい!青炎、イェーイ!」
「いえーい」
雷とハイタッチをして、喜ぶ。
卵一つ割っただけだけれど、なんだかとても楽しい。
それから俺と雷の料理は進んでいった。
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