私は2人に掴まれている腕を振り払った。
案外簡単に振り払うことができて、少し驚いたが。



「貴方達こそいい加減にしなさい」



少し低い声を出せば、途端に静まる2人。
驚いたように目を見開いている。


ショックを受けた顔が少し可哀想だが、収拾をつけるためだ。
仕方ない。



「せっかくのお茶もお菓子も不味くなるって2人ならわかってると思ったけどなぁ」



呆れたように息を吐くと、玄関へと続くドアに向かった。



「!し、シスイ様!どちらへ…」



慌てたように珀が追いかけてくるが、海輝にもわかるように手で制す。



「来なくていい。少し頭を冷やしなさいね」



そして、バタン!とわざとらしくドアを乱暴に閉めた。
少々行儀が悪いが、ここは勘弁してもらおう。


すると、タイミングよく奏と牙が帰ってきたところに鉢合わせた。
私は2人の腕を掴むと、一緒に外に出た。



* * *




暫く、呆然としていた海輝と珀だったが、我に返ってお互い困ったように苦笑した。



「一時休戦、ですね」
「そうですね。夕食の準備をします。海輝、手伝ってください」
「ええ、勿論」









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