「は、珀?」
「海輝、それは許しませんよ」
「何故です。シスイの行動を決めるのはシスイ自身でしょう?」



負けじと言い返す海輝もムキになって、珀を睨みつけている。
珀はそれをものともせずに淡々と言った。



「海輝と二人きりなど、シスイ様の身に何があるか…」
「聞き捨てなりませんね。俺がシスイに手を出すとでも?」
「そう聞こえたのならそういうことかもしれないですね」
「それはお互い様では?というか、一番貴方が危ないんじゃないんですか、珀」



彼らの口論はヒートアップしているが、私にはまったく何のことかわからなかった。
さて。私はどうすればいいのだろうか。


暫く黙っていると、机を叩く大きな音が響いてふと我に返った。
どうやら叩いたのは海輝のようで。



「今日くらい、譲っていただきますよ珀」



海輝はガタッ!と勢いよく立ち上がると私の腕を掴みリビングを出ていこうとした。
しかし、すかさず珀に反対側の腕も掴まれる。


さながら、囚われた宇宙人のようだと笑いそうになったがぐっと堪えた。
そもそも、彼らはなぜこんな剣幕で言い合いをしているのだろうか。


ただ、3人でお茶をしていただけなのに。
海輝が出先で美味しそうなお菓子の詰め合わせを見つけたから買ってきてくれて、
偶然、珀も買い物の帰りに見つけたケーキ屋さんでタルトを買ったと言うからお茶をしようと提案しただけ、なのに。



「海輝。いい加減にしてください、我侭が過ぎるのではないですか?」
「我侭?それはそっちのことでしょう!心が狭い男は嫌われますよ」
「そちらこそ、女性に対して無理矢理な行動を取ると愛想を尽かされますよ」



そろそろ腕を離してほしいかなと思いながら、どうするか逡巡した。
このままだと、喧嘩で一日が終わってしまう。

家事が滞ってしまうことが何よりの心配事であるので、私は思い切ることにした。








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