好きだから…
「シスイ、これはどうです?美味しそうですよ」
私の目の前でとても綺麗な顔がにこにこと笑っている。
海輝はテーブルに置いてあるマカロンを一つ摘みながら、言った。
とても食感がよさそうだし、ピンク色が可愛くておいしそう。
「シスイ様。こちらの方があまり甘くなさそうでシスイ様のお口にも合うのではないでしょうか」
珀は海輝が勧めてくれたマカロンを押しやり、ラズベリーと切り分けられたモモンの実が乗ったタルトを差し出した。
たっぷりのラズベリーが敷き詰められ、光沢を出しているのかキラキラしていてこれもおいしそうだ。
すると、ムッとした海輝の顔が目に入った。
珍しい顔をするものだと思いながら、彼を覗き込んだ。
「海輝?大丈夫?」
「シスイ、今日は俺とデートしましょう」
「…はっ?」
唐突にそう言った海輝に目を丸くする。
今の流れでどうしてそういう話になったのか。
私はわからずに首を傾げていると、隣に座っていた珀がぐっと身を乗り出した。
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