「あ゛ー…奏……」
ちょっと雷の起こし方に失敗した。
しょうがないじゃないか。
手紙のことで頭がいっぱいだったんだから。
「あー…ごめん、雷」
「次はないから……起こしてくれたことにはありがとうだけど…」
「起こしてくれてありがとな、奏」
こら雷、怖いぞ。
…なんて言える筈もなく、俺は苦笑した。
シスイはソファに座って楽しそうに手紙読んでるし。
ああ!!もう誰からなんだよっ
雷と獅闇は眠そうな目を擦りながら、食卓のイスに座った。
海輝も珀もまだキッチンで朝食の準備中。
牙はコーヒーを飲みながら、新聞に目を通してる。
納得いかない気持ちが段々イライラしてくるようになって。
俺は牙の隣にドカッと座る。
自然と貧乏ゆすりも激しくなる。
「奏」
「何、牙」
「貧乏ゆすり」
「知ってる」
ああ、イライラする。
* * *
そして朝食の時。
俺の機嫌は相変わらず悪かった。
乱暴にウインナーを刺し、一口で食べる。
「……」
皆の視線を感じる。
でも、そんなの構うもんか。
“ザクッ!!”
サラダのレタスがいい音をたてる。
イライラを潰すように、レタスを口に運んでむしゃむしゃと食べた。
ああ、イライラする。
一体、あの手紙は誰からだというのだろう。
というか俺、何でこんなにイライラしてるんだろう。
段々訳がわからなくなってきて、それがまたイライラになる。
コップに入った牛乳を一気に飲み干し、バン!!とテーブルに置いた。
「奏」
「何、珀」
「食事は静かに━━…」
「わかってるから!…っ…ごめん、頭冷やしてくる」
駄目だ、このままじゃ。
「ごちそうさま…」
俺は家を飛び出した。
prev*
next
back