あれからシスイはずっと機嫌がいいままだった。
俺はずっと何だ何だと考えているが、全く答えらしきものが浮かんでこない。
だが、ある日気付いた。
シスイの首に何か掛かっている事に…
ネックレスか…?
俺はすぐにでも近寄って、それが何か聞きたかったが、ちょっと待て。
よく考えろ、獅闇。
ここで間違ってしまったら恥ずかしいでは済まされない。
自分で作った…?
いや、それはない。
シスイはいつも忙しそうだから。
奏から貰った…?
いやいや、この前新しいアクセを貰っていたばかりだ。
他人からの贈り物…?
隣のおばさんはよくシスイに物をやっているからそうかもしれない。
いやいやいや、待て待て。
デザインが男物っぽいぞ…
………
!!!
お、とこ…男?!
俺はモヤモヤする気持ちで考えた。
ヤバい。
俺、今脳内プチパニックだ。
だがそれを何とか抑え、俺はシスイに近寄った。
* * *
「シスイ」
「ん?あ、獅闇、どうしたの?」
「い、や、あの…」
「?」
覗き込んでくるシスイ。
うん、やっぱ可愛いな。
って、そうじゃねぇ…
俺は頭をフルフルと振って、思い切って聞いた。
「そんなネックレス、してたっけか?」
「これ?ああ、これはね、センターの隣に住んでるお兄さんの…」
ここまで言われて。
ほとんど無意識だと言ってもいいかもしれない。
体が勝手に動くというか、何というか。
気付いたら彼女を抱きしめていた。
「っし、獅闇…?」
「…てくれ…」
「うん?」
「外してくれ…それ…」
俺自身、何でこんな行動をとったのか不明で。
ただ、何となく、違う男から貰ったものをつけているってだけでモヤモヤが凄く大きくなった。
「獅闇」
「嫌だ…離さない…」
シスイの体がビクッとなったのがわかった。
そりゃそうだ。
わざと耳元で甘い声音を出しているのだから。
彼女が最近、コレに弱いということを知ったばかりで。
ようやく俺の武器が結構重宝することに気付いた。
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