考えに耽る
何ともいえない気持ちになった。
* * *
今日、シスイは妙に機嫌がよかった。
珀に聞いても、知らないと首を横に振る。
飯の時も、ソファに座ってても、ニコニコ。
何だってんだ?
「でね、その時雷ったら…」
「や、止めてよっシスイ!!」
向かい側のソファでシスイと雷と海輝が雑談しているのを、俺は頭の後ろで手を組み、ソファに深く身を埋めながら聞いていると。
「ね、獅闇もそう思うでしょ?」
シスイがこっちを見て、ニコリと笑った。
ああ、何か今の可愛い。
じゃなくて!
ヤバい、遂に俺にも奏の変態思考が移ってしまったのか…
「獅闇?」
「あ、ああ…わり、何だっけ」
聞きそびれてしまって苦笑していると、シスイは少し眉間に皺を寄せてこちらを見つめてくる。
うわ、そんな顔すんなっ…!!
内心、焦りながらも俺は“…どうした?”と努めて優しく聞く。
「具合でも悪いの?」
話を聞いてなくても、決して怒らないのが彼女のいい所だと俺は思う。
そして俺は首を横に振った。
「大丈夫」
「そう?」
「おう」
安心させるように笑ってやると、向こうも満面の笑みを浮かべてくる。
やっぱりアイツの笑顔はとびきり可愛いと思う。
そしてまた雑談し始めたのを横目で見ながら、俺はまた考えに耽るのだった。
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