俺の目の前に群青がいっぱいに広がった。
それは格好良く大きな咆哮を上げる。
『ナイスキャッチー!!牙!!』
キラキラと光る群青の体躯。
赤い大きな翼。
そして長い立派な尾。
ボーマンダの牙が背中に雷を乗せ、俺の所まで上がってきた。
『た、助かった…』
『全く。お前等は何をやっているんだ』
『俺の所為じゃないよ…』
俺は雷の遊びに付き合ってただけだ。
だけど、牙の背中に乗ってる雷はまだ楽しそうにしてる。
『僕、牙が来るのわかってて飛び降りたんだよ』
『……え?』
『牙なら絶対僕を助けてくれると思って。これならトクサネの宇宙センターからのひもなしバンジー実現できそう!』
その言葉に俺と牙は揃って大きなため息を吐いた。
砂浜に戻ってみると、一匹のグラエナ。
お。
獅闇、カッコいいな。
『いきなり牙が飛んでくからビビったぜ。どうしたんだ?』
『うん、斯く斯く云々で…』
『奏、疲れてんのな』
そりゃ疲れるよ。
体力的にも精神的にもボロボロだよ…
そんな俺の気持ちを察してくれたのか獅闇は人型に戻ると、
どこからかサイコソーダの缶を出して俺に差し出した。
「ほらよ、これでも飲んで元気出せ」
『し、しおーーーーん!!!!!』
俺は人の姿に戻ると、それを受け取り一気に飲む。
涙が止まらない…!!
そして。
サイコソーダが凄い体に染みた日だった。
(終)
書き置きしていたものでした。
奏は時々こんなに不憫です。
そして雷も時々こんなに怖くなります。笑
でも雷は奏のことももちろん大好きです。
prev*next
back