空中。
心地のいい風が俺と雷を撫でていく。
『うっわー!!すっごい奏!!海が青いね!!』
『そうだね…』
俺はチラッと視線を下に向け、青い海を見る。
本当に今日は天気がよくて、太陽の光に反射して海がキラキラしてる。
『本当に綺麗だ』
『うん!奏!くるってして、くるって!』
・・・何言ってんだろこの子。
俺に背中に雷を乗せたままアクロバット飛行をしろと?
もし何かあったら海輝に殺される。
『い、いや、危ないでしょ』
『危なくない』
うっわ。
無表情きたー!!
この顔したときが一番怖い。
何だ、今日すっごいわがままだぞ雷の奴。
俺はまた息を吐くと、“絶対手を離しちゃ駄目だからね”と釘を刺し、スピードを上げると飛びながらくるっと一回転する。
『あはははは!!楽しい!ジェットコースターみたいだー!』
本当。
こんな無邪気な顔をいつもしてればいいのに。
最近、雷元気なかったからね。
俺は苦笑すると、そのままのスピードで大海原の上を飛行する。
だけど。
嫌な予感がしてならない。
『奏、僕夢に一歩近づいてくる!』
『は?』
何だそれは。
そうポカーンとしている間にも雷は俺の背中の上で立ち上がった。
は、ちょ、何やってんのーーーー!!!!???
『あ、雷何やってんの!!す、すす、座って!!頼むから早く座れえええええええ!!!』
『全国図鑑番号26番!ねずみポケモンライチュウ雷、いっきまーーーす!!!』
雷はそのまま俺の背中から飛び降りた。
や、ちょ、はああああ?!?
あー……俺の人生終わった。
短い人生だったなあ…
なんて!考えてる場合じゃねー!!
俺は急降下して、雷を助けようとする。
が、追いつかない。
だが次の瞬間。
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