「え?ここ、砂浜?」
「うん、公園には海輝達いるもん」



まぁ、そうだけど。
でもだからといって海は。
ちょっと寒いし…



「文句ある」
「ありません」



最近、雷怖くない?どうしたのかなあ…
そうぼーっと考えていると、隣でピカッと光った。




『よし、オッケー』
「オッケーって…」




ライチュウ姿の雷がピョンピョンと跳ねている。




「何やってんの雷」
『何って準備運動。あ、奏も早く原型に戻ってよ』
「俺も?」
『うん、そのためにこんな広いところに連れてきたんだから』



何だかよくわからないけど、
今の雷に逆らったら俺は一瞬でお陀仏なので。
言うとおりに原型に戻る。

そして原型に戻ったら必ずやる、もう癖のようなもの…羽をパタパタと動かす。
よし、問題なし!




『で?雷、どうすんの?』
『うん。はい、ちょっとしつれーい』



すると雷は助走をつけて俺の背中にピョンと乗った。
相変わらず身軽だなこの子。
そう思いつつ、首だけを雷に向けて問う。



『雷、ホントに意味がわからないんだけど』
『え、奏だからこれくらいでわかるでしょ?』
『情報が少なすぎる!』




雷はその言葉にうーんと暫く考えて、




『よし、れっつごー!!』




とフニフニしてそうな手を大きく挙げて、そう言った。




『飛べって事?』
『うん』



だったら、最初からそう言えよ!!!
なんて突っ込む気力も失せ、俺はそっと息を吐くと羽をバタつかせる。




『・・しっかり掴まっといてね』
『ラジャー!!』



そうして俺はぶわっと勢いよく飛び立ったのだった。







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