「・・・・・うん」
「何が“うん”だ」
そして冒頭に至る。
人型の獅闇は彼女と肩を並べ歩く。
あの甘い声。
自覚がないのがまた恐ろしい。
「獅闇」
「ん?」
「獅闇はやっぱりメロメロにはならないのね」
シスイのその言葉に獅闇は考える素振りをしてから、シスイを見つめた。
首を傾げるシスイ。
「まぁ…俺ん中でお前が一番可愛いからな」
予想もしなかった言葉に思わず歩みを止めたシスイに、少し先を歩いていた獅闇もどうしたのかと立ち止まって彼女を見やる。
「し、獅闇」
「うん?」
「き、今日もかっこ…よかったよ」
さ、さあ帰ろう!!といきなり早歩きになった彼女の顔を獅闇は見逃さなかった。
頬をほんのり染めて、照れくさそうにするその顔を。
獅闇は手を顔に当てて、少し俯いた。
顔が、熱い。
「…反則だろ…」
獅闇はそう呟き、少し自分を落ち着けてから先に行ってしまった彼女を追いかけた。
気付けばもう日が西に傾いていた。
(終)
クーデレ獅闇は書いてて楽しいです。
まだ自分の声をあまり自覚していない時のお話。
これも書き置きしてたものでした。
次のページはおまけです、会話文ですがよろしければどうぞ→
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