「奏、“はかいこうせ…」
『ごめん、シスイ』
「…え?」



奏は首だけをシスイに向け、苦笑した。
シスイは首を傾げ、奏を見つめる。



『俺…シスイが貶されるの一番キライだ・・』
「奏・・?」



奏の脳内を走馬灯のように駆け抜ける、とある記憶。


何のために俺は強くなった?
シスイを守るためだ。

もう弱いだなんて言わせない。
珀には負けるけれど。




『だから、ごめんシスイ・・』
「奏・・・まさか・・!!」




彼が前に向き直ったと同時に上からいん石のようなものがエアームド目掛けて何個も落ちてくる。
勿論、エアームドは避けることが出来ず。



「エアームド!!・・・“りゅうせいぐん”・・?!」
「奏・・!」




砂埃が舞った。
晴れた時には目を回して倒れているエアームドと辛うじて立っている奏が見えた。

メタグロスが判定を言う。



「え、エアームド戦闘不能!!よって勝者シスイさん!!」




シスイは暫く呆然としていた。
奏があそこまで切羽詰った顔をするのは久しぶりだし、
そして何より“りゅうせいぐん”はシスイがよっぽどの事がない限り、指示しないようにしている大技。


だから、今回も“はかいこうせん”で迎撃しようとしたのに。

一体奏に何があったというのか。





「!そ、奏!!」




シスイはハッと我に返り、奏に駆け寄る。
酷く疲れているものの、ははっと笑う元気はあるようでシスイは安心した。




「奏、どうして・・」
『・・・内緒。でも、ちゃんと理由があるってことだけは覚えておいて』
「・・・わかった。お疲れ様、ゆっくり休んで」



とシスイは奏をボールに戻し、ダイゴに歩み寄った。



「ごめんなさい、ダイゴ」



シスイはお詫びに、と持っていたオレンの実を始めとする様々な木の実を数個ダイゴに手渡した。
彼はありがとうと受け取る。



「いや、いいんだよ。それよりも久しぶりに完敗した。楽しかったよ、シスイ」




ダイゴは手を差し出した。
シスイもそれを握り、返事の代わりにニコッと笑った。








prevnext
back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -