「流石シスイ」
「私じゃなくて、海輝が的確に動いてくれたのよ」
その言葉にダイゴはふっと笑った。
その気持ちこそが彼女達を強くしているのだろう。
さて。
ダイゴは呟き、ボールを持った。
「行け!エアームド!!」
「出番だよ、奏」
『よし、出番出番っと!』
くるっと空中で1回転して、綺麗な羽音を響かせながら優雅に着地する緑の龍。
奏は何とも余裕そうに、目の前のエアームドを見た。
『おうおう、何だお前奏か』
『…何か文句でもあんの?』
奏はエアームドを睨みつけ、いつもより少し低い声で話す。
シスイはそんな彼の背中を見つめ、“頑張って、奏”とエールを送った。
「第二試合・・
始め!!!」
合図が早いか、こちらが早いか。
即座にダイゴは指示を出す。
「エアームド!つばめがえし!!」
「…全く厄介な技を・・」
必中のこの技。
凄い音を立てて、奏に命中した。
「奏!」
『いってて・・何ともない何ともない!
牙の拳骨に比べたら、こんなの蚊に刺されたみたいなもんだから!!』
さっと体勢を立て直して、奏はエアームドと向き直る。
『フン。言ってくれるじゃねーかお前』
『本当のことを言っただけですけどー?』
「奏、“ドラゴンダイブ”」
突如。
奏から凄い殺気が溢れ、そのままジェット機の如くエアームドに向かっていく。
「!エアームド、避けろ!!」
『遅い』
体中に響くような凄い音を立てて、エアームドが吹っ飛んだ。
だが、流石ダイゴのエアームド。
これくらいの衝撃じゃまだ倒れない。
『チッ・・』
『ってーな・・オレ様の立派な鋼の羽に傷でも付いたらどうしてくれんだよ、奏』
「よし!エアームド!止めだ!“はがねのつばさ”!!!」
『ハッ!お前の弱さはトレーナーの弱さってな!!』
奏の中で何かが切れた。
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