大工仕事ができる人



「そうですか、そんなことが・・」


ミナモシティに帰ってきたシスイは家に戻り、海輝が用意してくれていた昼食を食べている。

ミシロタウンからの出来事を掻い摘んで、家で留守番をしてくれていた海輝に話していた。




「でもそのライラくん?が無事研究所にとけ込めたようでよかったですね」
「そうなの、意外と順応性が高いみたいで」


早速ネンリくん達にこき使われてたわ。

シスイはそう言って笑い、目の前に置かれたコーンスープに口をつけた。
その隣では黙々と獅闇が出された食事を貪っている。




「タマゴはどうだった?」
「相変わらず、ですね。暖かいのですがピクリとも」



海輝はそう言ってストーブの前に置いてあるタマゴを見て苦笑した。
無理もない。
四年も出てきていないのだ。
急にめきめきと動くはずがない。



「そう。お留守番ありがとね」
「どういたしまして。あ、獅闇、おかわりいりますか?」
「ん」



獅闇は綺麗に完食した器を海輝に差し出した。
海輝はそれにまたカレーを盛っていく。
海輝のカレーは絶品だ。
これだけ食べるのも頷ける。


だが、先ほどからシスイのカレーは減っていない。
食べたくないのか、具合が悪いのか。



「シスイ」
「うん?」
「具合でも?」
「どうして?」
「カレーが一向に減っていませんよ」



海輝はシスイの器を指差した。
彼女は先ほどからコーンスープだけを啜っている。
いつもならちゃんとお食べにならなくてはと言っている珀は今は私用で外出中。



それをいいことにシスイは全く昼食に手をつけていなかった。
彼女はもとから少食であったが、せっかく作ってくれたものだからといつもならちゃんと食べる。



「具合なんて悪くないわよ」
「では、いくら昼食でもしっかり食べないと」
「さっきオダマキ博士のところで焼き芋食べたからお腹いっぱいなのよ」



そう言い訳をするシスイだが、それも見事に崩される。



「3分の1しか食べていない」
「あんなの食ったうちに入らないだろ」



獅闇と牙が即座に言ったことで、それもまた無意味に。
海輝は笑顔でシスイに”食べましょうね?”とコップに水を注ぎ、コトリと置きながら言った。



「・・・はい・・」



そうしてシスイは彼が作った絶品のカレーを食べらざるを得なくなった。






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