オダマキ研究所にて。
穏やかで静かなこの町に大きな影が差し、中心に何かが降り立った。
群青の龍。
大きな羽をはためかせ、ゆっくりと着地した牙は着いたぞと背中にいる主に声を掛ける。
「うん。ありがとう牙」
シスイはさっと背中から降りると、新鮮な空気を吸い込むように深呼吸した。
そしてお疲れ様と牙をボールに戻す。
そしてシスイはオダマキ研究所へ向かった。
「ごめんください」
そう一声掛け、研究所の扉を開ける。
中には薄い緑の髪が印象的な青年がいた。
青年は持っている紙を思案顔で見つめながらポンポンと自分の顎をペンで軽く叩いている。
白衣を着ているから恐らくここの研究員か何かだろう。
「!あぁ、どちらさま・・・し、シスイさん」
「こんにちはネンリくん」
ネンリという目の前の青年は列記としたポケモンでその正体は、ほうようポケモンのサーナイトだ。
「研究に余念がないのね。オダマキ博士はどちら?」
「博士ならいつものフィールドワークからまだ帰ってきてませんよ。
もしかしてまた呼び出し食らったんですか?大変ですねシスイさんも」
コーヒー、淹れますね。
とネンリは立ち上がってキッチンに入っていった。
お言葉に甘え、シスイは研究所の奥のソファに座った。
ネンリがさっきまでいた机は資料が山積みにされており、床にまで書類が散らばっている。
すると奥からコーヒーカップを二つ持ったネンリが来て、シスイの目の前にコトリと置いた。
「砂糖とミルクは要りますか?」
「いいえ」
「そうですか。では、どうぞ」
「ありがとう」
シスイはそれを一口飲み、ふぅと息を吐いた。
久しぶりにインスタントのコーヒーを飲んだ気がした。
美味しい。
ふとネンリを見ると、コーヒーに角砂糖を4つも入れており、さすがに見なければよかったと視線を逸らした。
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