増えた家族



あれから二日後。

グラエナの怪我もすっかり治り、今は彼を連れて自宅に戻っているシスイ一行。

今日のお供は珀と牙だ。



『・・・・ども』
「ああ」
「・・・牙、牙」
「何だ」
「初対面なんだから自己紹介」




そうシスイがコソコソと言うと、牙はふっと視線をグラエナに向けて、


「ボーマンダの牙だ。よろしく頼む」


と一言だけ言い、スタスタと歩いていってしまった。



『無口な奴なんだな』
「タツベイの時からあんな感じよ」
『・・・へぇ』
「さて」
『?』



シスイはくるっと振り返り、グラエナを見つめる。



「君に名前を献上しようと思います」
『名前?』
「そう!いつまでも”グラエナくん”じゃ嫌だし、
ウチの子達にはみんな名前があるから」



種族名なんてただの種族名だし。

とシスイは言いニコリと笑った。
少しの間グラエナはぽかんとしていたが、
やがて照れ隠しのように視線を逸らした。



「というわけで。

君の名前は“獅闇シオン”」
『し、おん?』
「そう!あなたを見たとき獅子みたいにかっこいいなって思った。それにその毛並みが闇のように黒くて綺麗。
だから獅闇。どう?」
『・・・・気に入った。ありがとう』


獅闇はふっと笑って、シスイを見つめた。
その様子に彼女は笑うと、前に向き直り歩き出した。


「よかったよかった!!じゃぁウチに案内するよ。ついておいで。
珀、申し訳ないのだけど昼食の準備を急いで欲しいから、先に家に戻っていてくれる?
私は大丈夫だから。
海輝にも手伝ってもらって」
「御意。早速準備に取り掛かります」



と珀はすばやく原型に戻り、風のように走っていった。

そうして。グラエナ基獅闇は晴れてシスイ家の一員となったのだった。





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