「ちょ、牙ー?大丈夫ー?」
「牙、どうしたんですか?顔色があまり良くないですね」
その頃。
リビングでは酷く体調が悪そうな牙を囲んで、他の者たちが不思議そうな顔をしていた。
「はい、牙お水。飲める?」
雷は牙の隣に座り、彼に水を差し出す。
「あ、ああ・・ありがとう雷」
「うん・・どういたしまして・・」
牙は一気に水を飲み干す。
雷は牙からコップを受け取り、目の前のテーブルに置いた。
「牙、大丈夫ですか?」
珀が心配そうな顔で彼を見る。
牙は何とかなと頷いた。
すると奏が思いついたように口を開いた。
「珀、牙どしたの?
あ、もしかして道に迷ったポケモンを迎えに行って、帰りも送ったとかそんな感じ?」
その言葉に珀は一瞬目を見開くと、気づかれないようにはっと息を吐いた。
「・・・・奏」
「うん?」
「貴方の勘が良すぎて逆に恐ろしくなりました」
「・・・マジか」
珀は無言で頷き、牙に部屋で休むように促した。
牙はむくっと立ち上がって、フラフラと部屋に戻っていった。
「オダマキ博士の所にいるペリッパーはご存知ですか?」
「博士んとこの?ああ、あの方向音痴の……うわ…なるほど・・」
「迎えに行って送りに行ったって……一体どこまで行ったんです?」
フェザーアクセを付けるのに苦戦している雷の前にしゃがみ込み、そっと付けてやりながら海輝は珀に問うた。
「迎えも送りもキンセツです」
「ありがとう海輝!うわ・・結構な距離だねそれ」
牙が飛んだであろう距離を想像しながら。
一同、苦虫を噛み潰したような顔をした。
〜続く〜
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