ミナモシティの海岸。
砂浜に大きな影が降り立った。



「牙、すみません」
『いや。大丈夫だ』
『いやぁ!悪いな!俺、方向音痴なのすっかり忘れてたぜー!』


無駄にうるさいペリッパー。
そう、彼はネンリのいるミシロタウンからの使い。
大事なものを持っているというのに、あちらこちらと迷っていたらしい。



『他の飛べる奴はいなかったのか』



牙がギロっとペリッパーを睨みつける。



『ひっ・・い、いないんだよ、皆出払っちまっててよ・・・
だってネンリの奴人使い荒いから・・』
『・・・そうか・・』



と牙は彼を一瞥した後、羽をパタパタさせる。
牙は迷っていた彼を即座に見つけ、ここまで案内した。
牙の側に控えていた珀はペリッパーに近寄った。



「資料は・・」
『おう!これだ!』



ペリッパーはショルダーに入っていた紙袋を珀に渡した。
中にはファイルが数冊、丁寧に入れられている。
珀はほっと息を吐くと、ペリッパーに向き直った。



「確かに預かりましたとネンリ君にお伝えください」
『おう!わかった!じゃあ、俺は行くな!』
「はい、道中お気をつけて」
『サンキュ!!』



とペリッパーの彼は勢いよく飛び上がった。



が。



数分後。




『悪い!!キンセツまで教えてくれ!!』




申し訳なさそうに眉を下げたペリッパーが彼らの元に戻ってきた。



『「・・・・・・・」』



呆れて物も言えない二人を尻目に、ペリッパーは羽をバタバタさせて待機している。




「お願いできますか・・牙・・」
『・・・・・ああ』



そうして。
牙はまた飛ばざるを得なくなったのだった。








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