「いいか?よーく見てろよ」
「うん!!」
淹れ立てのカプチーノ。
それにスーッと小さい白い棒のような物で何かを描いていく。
「ほい、出来た」
可愛いミミロル。
隣にいる雷はキラキラと目を輝かせた。
「凄い凄い!!獅闇、凄いねー!」
獅闇は雷の頭をクシャリと撫でてから、それを雷にやった。
彼はウキウキとそれをリビングに持って行き、誰にも盗られないようにコソコソと飲んでいた。
獅闇の特技、ラテアート。
それを作るところが見たいと雷が言ったので獅闇は早速作り始めた。
あんなに喜んでくれるならこっちもやった甲斐があるってもんだな。
そう呟き、獅闇は微笑した。
すると。
「!!」
「獅闇の微笑み、ゲットだぜ!」
「何キャラだ」
突然耳に入ってきたシャッター音。
そしてフラッシュの光。
奏がまたカメラを構えて、ピースサインを獅闇に送る。
獅闇は半目になりながら、即座に突っ込んだ。
デジカメを買ってからというもの。
奏は何かにとり憑かれたかのように、写真を撮り続けてはパソコンに入れていた。
「もはや病気だな」
「違いない」
「!お、おかえり牙」
「ああ、ただいま」
獅闇がそう呟くと、いつの間にか隣に牙がいて驚く。
彼は気配を消すのも得意なのか。
獅闇は苦笑した。
「そういや、海輝は?」
「海輝は近所の子どもに捕まっている」
「は?」
「ああ、また?みんな大好き海輝お兄ちゃん!!ってね」
面倒見のいい海輝。
よく近所の子供に捕まっては、鬼ごっこやらままごとやらにつき合わされているという。
まぁ、子どもが好きな海輝はそれほど苦にも思っていないらしいが。
「ま、ままごと・・?」
「よく女の子同士で取り合いになってるよアイツ。
まぁ確かにイケメンで優しいとくれば年齢問わず取り合いにもなるか。
いいなぁ・・そんなハーレム・・!」
奏はうっとりといったように瞳を輝かせた。
その言葉に獅闇は奏に一言言い放った。
「…シスイにチクるぞ」
「…え゛」
途端真っ青になる奏を横目に、牙はしれっとリビングのソファに腰を沈めた。
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