「・・!!珀!避けて!!!!」
『っ!!』



ものすごい爆音が彼らの全身を覆うように響いた。
ずしんと心臓に直接響くような、そんな衝撃。


土煙が舞った。
あまりの衝撃に皆、目を覆う。

やがて土煙が晴れた先にあった姿は・・・



『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』



大きく陥没した穴の中に佇む雷と。



『・・・・・』



間一髪であの凄まじい衝撃を避けた珀。
その後姿でシスイは即座に感じ取った。


あの珀が・・


「・・・珀が動揺してる・・・」



するとどこからかパチパチと拍手の音がした。
雷はその音にぴくっと反応すると、顔を上げた。



「雷。大きくなりました」



海輝がタマゴを抱えながらニコニコと雷に歩み寄った。
それに続き、獅闇も牙も指示を出していた奏も雷の元に近寄る。

それを見ていたシスイもふっと笑って珀の隣に移動した。



「雷、お前凄いな。あんなアイアンテール初めて見たぞ」
「俺と奏の特訓の成果がまたここでも出たな。威力も上がっている」
「素晴らしいです雷。俺は感激しましたよ」
「さっすが雷!!狙う位置もバッチシ!!言うことなしだよ!!」
『・・・みんな・・・』



労いの言葉をかけ、順々に雷の頭を撫でていく獅闇達。





「どうだった?雷のアイアンテール」


シスイが隣にいる珀に問うと、彼はふっと微かに笑う。
そして人型になり雷の前に立った。



「お見事でした。前の貴方からは想像が出来ないくらいのオーラがひしひしと伝わってきましたよ」
「本当。よく頑張ったね雷、これからももっともっと強くなっていこう?」


と珀も雷の頭を優しい手つきで撫で、シスイはライチュウのままの彼をぎゅうっと抱きしめた。



『・・・ハ・・ク・・・シスイ……ふぇ…ぅっ・・・うわあああん…っ!』
「あらあら・・・」


あれだけ尊敬していた珀に褒められて、よっぽど嬉しかったのか。
雷はシスイに縋りついて号泣した。

シスイも彼が泣き止むまでゆっくりと背中を撫で続けた。


お前がした努力は無駄ではなかったと・・そう伝えるために。





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