暫くして。
外で遊んでいた雷は元気に帰宅した。
「ただいまぁー!!…あれ、どうしたの?皆。獅闇は寝てるし…」
「いんや。起きてるぜ」
「うわぁ!ね、ねえ獅闇。この空気はなに?」
「うん・・まあ・・何だ。あれだあれ」
「あれ?」
ふと周りを見ればげっそりしている彼等。
牙はさすがに表情には出さないが、心なしか残念そうで。
獅闇は起き上がり、ポンと雷の頭を撫でた。
「??」
「鈍感、てやつだ」
その言葉に首を傾げ、考える素振りを見せた雷はぽんと閃いたように獅闇に言った。
「鈍感?ああシスイ、またやっちゃったんだね。
今度は誰に?隣のお兄ちゃん?それとも民宿ミナモでバイトしてる二軒先のお兄ちゃん?」
「…は?」
雷の言葉に獅闇だけではなく、その場にいた全員が一斉に雷を見た。
彼はそれに気づかず“うんうん”と腕組をして頷く。
珀は咄嗟にシスイの耳を塞いだ。
「ちょ、ちょっと珀?」
当然周りの音は遮断され、何も聞こえなくなる。
「ま、あの人たちシスイのことが好きって言ってたしねぇ……え?!」
雷がふと見れば、珀達全員纏うオーラが黒一色だった。
雷はやば・・と冷や汗を流す。
「雷?それ詳しく教えてくんない?」
「雷・・どこで仕入れた情報ですか?」
「早く言え、雷」
「え・・い、や・・ちょ・・!!」
奏と海輝と牙が雷に詰め寄り・・・
「珀。ポケセン行こうぜ。俺、新技の特訓すっから付き合ってくれよ」
「勿論、いいですよ。それで?何の技を?」
「ギガインパクト」
「ああ、でしたら私がお教えしますよ。これから役に立つでしょうし・・ね?」
「・・・・・・あ、ああ」
威力共々最高クラスのこの技。
教えて完璧にできるものなのか。
ふふふと笑う珀を尻目に獅闇は珀と共に家を出てった。
シスイはそんなみんなの様子に首を傾げつつ、これからのことについて考えるのだった。
自分の鈍感さが原因とも知らずに・・・
そして数日後。
穏やかなミナモシティに男の悲鳴二つ。
そしてポケモンセンターバトルフィールドからは大きな爆発音が響いていたのは言うまでもない。
〜続く〜
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