眼前の3人は優雅に出された茶を啜っていた。
さも当たり前のように。

シスイは彼らの向かいに座り、口を開いた。


「それで。急用ってなに?と、いうかまずここにどうやって入ったか教えてもらいましょうか」
「そなたは“強行突破”という言葉を知らんのか」
「ガードが固かったら破るまで、だが意外と頑固だったなあ」


と茶色の彼―かざんポケモンのエンテイが海輝と珀を指差す。


シスイは彼等を見る。
二人は申し訳なさそうに少しだけ俯いた。

すると黄色の彼が静かに口を開いた。



「話が逸れたな。本題はお前が持っているそのタマゴだ」
「・・・・それが?」


いかずちポケモンであるライコウはストーブの前に置いてある真っ赤なタマゴを見た。

リーグからの最終任務。
四年も孵らないタマゴを孵す事。
それを何故か彼等は知っているような口ぶりで話を進めていった。


「そのタマゴをジョウト地方のウツギという男に見せたらどうだ」
「・・・・は?」
「四年も孵らないのだろう?」


ライコウが厳かに言った。
シスイは全く訳がわからないといった表情を見せる。



はて。

彼等は急用と言った。
となるとそれだけ大事な話なのだと彼女は思っていた。
だが、実際はタマゴをジョウトのウツギ博士に見せたらどうだというただの提案。


「我等はそなたに協力するために参った。わざわざ、この、ホウエンにまで」


水色の綺麗な髪が陽光に煌いた。
オーロラポケモン―スイクンが色々と強調して言う。

協力?
何のために・・

シスイは訝しげに目の前の3人を見据えた。


「急用といえばすぐにお前に会えると思ったんだがなぁ・・案外そこのピンクさんが頭良くてよ」
「理由を知りたそうな顔だな」
「我等がそなたらに手を貸すのは・・ただの気紛れであって興味本位」



つまり・・それは・・



「要するに貴方方は特に理由もなしにただの気紛れでシスイ様に協力するということで・・なれば、いつか興味がなくなる…と。そういうことですか?」


今まで黙っていた珀がやや冷めた口調で彼等に問う。
そんな冷めたオーラにも物怖じせずスイクンは珀を見た。


「言ってしまえばそういうことだ」
「でしたら、貴方方を認めるわけにはいきません」
「何・・?」


スイクンはすっと目を細めた。
ライコウも彼を見据え、エンテイも軽く舌打ちする。


「興味がなくなられてはシスイ様にご迷惑です。
そのような軽い気持ちでシスイ様は任務を引き受けたわけでは御座いません。
四年という重いリスク。そして命を預かるという責任。
それを興味本位で関わってこられては我々にとっても邪魔以外の何物でもない」


どうぞ、お引き取りください。

珀はそう言うと、キッと彼らを睨む。
ちくちくと痛い沈黙がその場に流れた。




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