飛び交う火炎放射。
それをひらりとかわす緑の龍。

ポケモンセンターバトルフィールドは朝にも関わらず、凄まじい熱戦が繰り広げられる。


『ちょーっと動きが鈍いんじゃない?牙』
『貴様こそ反応が遅くなったのではないか?奏』


空中で行き交う光線の嵐。
それを雷は瞳を輝かせて見守っていた。


『すっげーすっげー!やっぱあの二人は凄いなあ・・』


ぴょんぴょんと跳ね、興奮した様子の雷。
アイアンテールの特訓後。
“雷がいるから今日は張り切っちゃうなぁ”という奏の言葉とドラゴンダイブから彼らの戦いの火蓋は切って落とされた。


『俺からのサプライズターイム!!』


と言うと奏はマッドショットを雷に向かって繰り出す。
泥の塊が一直線に雷に向かっていく。


『奏!お前!!』
『わ!!』


雷はそれを間一髪で避ける。
マッドショットはじめんタイプの技。
電気タイプの雷に当たったら効果抜群だ。


『そ、奏!!何すんのさ!』
『いやあ!テンション上がっちゃって・・さ!!』


奏は急降下しジェット機のごとく雷に向かっていく。
対峙していた牙もさすがに慌て、急いで雷のもとへ飛ぶ。


『邪魔しないでよ牙!』
『何を・・!ちっ・・!!雷!!避けろ!!』


牙は雷に向かって叫ぶ。
そうやっているうちにも奏は急降下を続ける。
雷は決心したようにバチバチと尻尾に電気を纏い、一気にジャンプした。



『!!』
『奏の・・バカヤロおおおお!!!』



電気を纏った尻尾は硬さも増し、そして一気に振り下ろされる。
それは奏の脇腹に直撃し、奏は瞬く間に吹っ飛ばされる。


『うわっ!!!』
『・・!奏!!』


だが、奏はすぐに体勢を立て直し、雷の前に着地した。
牙も後から奏の隣に降り、二人を交互に見やる。


『大成功!かな?いいアイアンテールだったよ雷。
電気も纏わせるところは雷らしいね。俺には効かなかったけど・・』


奏はポンと雷の頭を撫でた。
彼は雷を試した。
いくらこれが完成したからといって、実践で使えなければ意味がない。
そう思い、わざと雷に攻撃をしかけたのだった。


奏の意図に牙も納得し、尻尾で雷を抱えるとヒョイと背中に乗せた。


『わわ・・!』
『よくやった雷。今まで頑張ったな。』
『うんうん!よく俺達のスパルタに耐えたよね!』


奏がくるっと一回転をして、今度は自分の背中に乗せる。


『ほ・・んと?』
『ああ』
『本当に・・かんせい・・?』
『完成完成!』
『や・・った・・・やったあああああ!!!』


雷は奏の背中でぴょんぴょんと跳ねる。
“ちょっと痛いよ雷・・”と奏も言うが二人もどことなく嬉しそうだ。


そうして暫く雷は喜びに浸っていた。





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