雷の成長



今日はよく晴れている日だ。


部屋に篭りきりの私は少し空気の入れ替えをしようと窓を開けた。

外からはにぎやかな声が聞こえてくる。



「まぁた・・あの3人か」


くすりと一つ笑いを零した。


奏、牙、雷。
雷のアイアンテールもそろそろ完成だということで、珀相手にその成果を見せてもらおう。


そう思い、窓の外を見ているとノックの音が聞こえ“どうぞ”と振り返る。



「失礼します、シスイ様」
「あぁ、おはよう珀」
「おはようございます。本日もずっと篭りきりで?」
「いいえ。今日は出ようかと思ってるよ」



そう言って珀の顔を見て私は悟る。


“何か大事なことがある”と。



「・・・どうしたの?」
「はい・・ジョウトの伝説が我が家に」
「・・・そう」



お悩み相談かと一瞬考えた。
伝説が悩みを抱えていることなんて珍しいことではないし・・
わざわざホウエンにまで来るというし。

私はそっと息を吐いて、“いつ?”と珀に聞いた。



「恐らく明後日ではないかと・・」
「わかったわ、報告ありがとうね」
「いえ…」



ちらと珀の顔を見ると、少し心配そうに私を見つめていた。
私は安心させるように彼の頭をひと撫ですると、「お腹空いたなあ」と呟く。


すると珀は少し安堵したような顔をして、「ただいまご用意いたします」と一礼した。



私はその綺麗な礼を見、少し遅い朝食を食べに部屋を出るのだった。





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