「いってぇぇ!!!」
「痛い痛い!!でもセーフ!!」
「俺もセーフ♪ほい、獅闇このカード全部持っていってね」
一休さん。
トランプをドーナツ状に並べ、1か3か9が出たら迷わず叩くようにして遊ぶゲーム。
上の手の人がその場にある全てのカードを持っていくというルールなのだが。
「獅闇、反応早いかと思ってたんだけどなぁ・・」
雷が手をひらひらさせながら、楽しそうに言った。
その隣で奏もニコニコとして、次のカードを捲っていた。
「・・白熱していますね、あの3人・・」
「とりわけ仲が良さそうですからあの3人は」
「そうみたいですね」
と珀は何かに気付き、顔を上げた。
それに続くように、海輝も玄関の方を見やる。
「珀はこのプディングを。俺が出てきます」
「よろしくお願いします海輝」
海輝は玄関に向かい、そっとドアを開ける。
「珍しい。ジョウトの貴方方が何故ここに」
海輝は目の前の3匹を見据えた。
だが、それを軽く受け流し、美しい青が一歩前に出る。
『我等はそなた達の主に会いに来た。至急顔を出されよ』
「生憎主人は部屋に篭っておりまして、今日丸一日出ないと申しております。すみませんが・・お引取りを」
『急用でもか』
続く神々しい黄が声を発する。
その場の何かがひれ伏しそうなくらいのオーラ。
しかし、海輝はそれにも屈せず淡々と言う。
「はい、こちらとて暇ではないのです。
後日改めて来てくださると言うのなら・・・主にお伝えしましょう」
『ふん。ならば、そうさせてもらおうか。俺等はしばらくこっちに滞在する。
そうだな・・3日後。3日後にまたこちらに来よう』
綺麗な茶毛を棚引かせたそれは後ろの二匹に目配せをし、颯爽と去っていった。
海輝はそれを見送りつつ、ふぅと息を吐いて家に入った。
「海輝」
「ジョウトの3匹が。急用でシスイに会いたいと・・」
「・・・・・」
「3日後。またこちらに来ます。その旨をシスイにお伝えできますか」
「わかりました」
と珀は綺麗に出来上がったプディングを海輝に渡し、
再び二階へと上がっていった。
「・・・伝説と言うのは・・気紛れが多いのでしょうか・・」
そう呟き、海輝は未だ『一休さん』で白熱してる3人にプディングを持って近寄った。
外は清々しいくらいに晴れていた。
〜続く〜
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