リビングに入っていったチハヤ達。
獅闇の姿を捉えると、ふっと目を細めた。



「シスイ、彼が?」
「え?ああ、そうなの」



チハヤは獅闇に近寄り、にこりと笑った。



「初めまして。シスイの父のチハヤです。よろしくね」



獅闇は少し緊張したような顔をしていたが、その穏やかな雰囲気に表情を和らげ口を開いた。



「グラエナの獅闇だ。よろしく」
「ふふ、とても綺麗な青年だね。シスイをこれからもよろしくね」



と言うと、チハヤは獅闇の手を取った。
彼もされるがままに握手をし、ふとチハヤを見た。


シスイに似てとても端正な顔立ちをしている。
口元なんかはよく似ていた。




「おや、僕の顔に何かついているかい?」




視線に気づいたチハヤは首を傾げ獅闇を見た。
獅闇ははっとしてすぐに顔を背けた。
危ない。
ついつい見入ってしまった。


「あ、い、いや。シスイによく似ているなって思って」
「本当かい?そう言ってくれると何だか嬉しいなあ」


チハヤはくすくすと笑い、癸を呼んだ。



「なんでしょう、チハヤ様」
「うん、紹介しようと思ってね。獅闇君、彼が僕のパートナーで珀の父親なんだ」



すると癸は獅闇に向き直った。
それは言い表せられないオーラ。
切れ長の瞳がすっと細められるだけでもすごい威圧感だ。



「癸、という。アブソルだ。よろしく頼む」
「ぐ、グラエナの、獅闇・・デス。
よろしく・・・お願いシマス・・」
「ああ」



思わず敬語になってしまうくらいに彼の存在感は凄かった。
本当にあの穏やかな珀の父親なのだろうかと疑ってしまうくらいに。
だからこそ、逆に珀のトラウマがあるのも頷けた。


こんなオーラの人に怒鳴られたらいくら自分でもさすがにビビる。
そんなことを考えながら、獅闇は癸と握手を交わした。









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