リーグ本部
”はなとうみとポケモンのらくえん”
そう称されるように、ここサイユウシティは美しいところだ。
シスイはその北部。
ポケモンリーグ本部がある前で奏を降下させた。
見たくもなかったこの建物。
嫌な思い出しかないここにまた足を踏み入れることになるとは思っても見なかった。
傍で羽をパタパタさせている奏をひと撫でした。
「お疲れ様奏。ありがとう」
『どういたしまして。でも思ったより疲れてないから大丈夫だよ。
ここからは・・大丈夫?シスイ・・辛そう』
「大丈夫。珀もいるし・・」
リーグ本部に入る際、一匹ポケモンを出して入らなければいけないという決まりがあり、それは主にパートナーポケモンである。
だから、シスイはいつも珀を出して、本部に入る。
『そっか。珀なら安心だね』
珀は誰よりも強く誰よりも完璧であろうとする。
この”ドラゴンタイプ”である奏よりも。
「そうね・・じゃあゆっくり休んでて」
『うん・・ありがとう』
そう言うと奏はボールの中に入っていった。
そして代わりに・・・
『では、参りましょうか』
銀毛を棚引かせ、現れたのは”わざわいポケモン”と呼ばれるアブソル。
シスイの傍らに身を寄せ、主人を守る。
絶対の忠誠を誓う彼。
その様はさながら騎士のようで。
「ありがとう珀」
『いいえ』
そして彼女達はついに足を踏み入れた。
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