「青炎、これがフォーク!こっちがスプーン!!」
雷は青炎の隣に座って、食事の仕方を教えていた。
いくらバシャーモに進化したとはいえ、タマゴの中からでは十分に食事の仕方を見ることができない。
そこで、雷達は青炎に色々教えてあげようと意気込んでいた。
青炎と話していて気づいたことは、青炎は食事の仕方など人間が日常的に行うもののやり方や物の名前などをあまり知らないということ。
それから、ちゃんと人型になれるということであった。
教えてあげるねと言った雷の前に現れたのは、優しいクリーム色に赤いメッシュが入った髪を持つ青年。
瞳は青と黄色のオッドアイ、少し眠そうなタレ目。
そして鮮やかな赤いチャイナ服を着ていた。
その姿に一同「おおー…」と声を上げたのは記憶に新しい。
* * *
「すぷーん…ふぉーく…」
「そうだよ!今日はオムライスだから、スプーンの方!」
雷はお手本といって、スプーンでオムライスを掬い口に運んだ。
おいしいと顔を綻ばせ、青炎の方に向き直った。
それを黙って見ていた青炎は、恐る恐るスプーンを手にしてオムライスを掬ってみる。
何だかぎこちないが、なかなか上手に使えているではないだろうか。
青炎はぱくっとオムライスを頬張った。
そしてもぐもぐと口を動かし咀嚼する。
次第に眠そうなタレ目が見開かれたかと思うと。
「…ッおいしい…!雷、これ、おいしい!」
青炎は花が咲くように笑って、雷を見た。
そんな青炎の様子に雷も嬉しくなったのか笑い返す。
「でしょでしょ!!これはね、オムライスっていうんだよ!海輝が作ってくれたの!」
「おむらいす…!」
そしてキッチンから様子を見ていた海輝にも顔を向け、にっこりと笑った。
「海輝…!これ、おいしい!ありがとう!」
青炎は正直に物を言う子だとわかった。
おいしかったらおいしい、まずかったらまずい、嫌なことは嫌だ。
そんな素直な青炎に、皆悪い印象など受けるはずもなく。
すっかりとこの家に溶け込んでいる青炎を見て、海輝も微笑んだ。
「それはよかったです。たくさん食べてくださいね」
「うん…!」
その後、青炎と他の者達も仲良く揃ってオムライスを食べたのだった。
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