何か温かいものに包まれているような。
シスイはまどろみの中でまだ自分が生きていると確信した。
早く目を開けなきゃ。
タマゴの声のように・・・
私は・・まだ・・・・
「ん・・・」
小さく聞こえた声。
珀がガタっと立ち上がり、シスイの傍に寄った。
バシャーモも顔を覗き込んだ。
うっすらと開く瞳。
それは彷徨うように微かに動いた。
「シスイ様・・・!!」
「は・・く・・・?」
シスイの瞳が珀を捉えた。
そして安心させるように彼女はうっすらと笑んだ。
その顔に今まで溜まっていたものが溢れ出すような気持ちになって。
珀はシスイに縋り付いた。
格好なんて気にしない。
今はただ、彼女が。
最愛の女性(ひと)が生きていくれたことに安堵したい。
「ごめんね・・・珀・・・あなたを守れなくて・・」
「謝るのは・・私の方です・・!貴女をお守りできなくて・・・パートナー失格です・・・!」
シスイはふっと起き上がって、珀を抱きしめた。
安心させるように。
そして、言い聞かせるように。
「シスイ様・・・・!」
「パートナー失格だなんて、そんな淋しい事言わないで・・珀・・」
そしてその背をゆっくりと撫でた。
パートナーはずっとパートナーで。
これからもずっと傍にいるものなのよ。
皆と一緒に。
シスイは静かに目を閉じ、言葉を紡ぐように言った。
その優しい声音は、珀の心にすとんと入っていく。
余計な言葉は彼らにはいらない。
言いたいことを紡ぐだけで。
「はい・・・!!」
シスイはふと、目を向けた。
そこには彼女を見つめるバシャーモの姿。
シスイはニコリと笑った。
「あなたが・・タマゴの・・」
バシャーモは頷いた。
そしてシスイに近寄る。
『シスイ・・守ってくれて・・・ありがとう・・』
「こちらこそ・・守ってくれて、言葉をかけてくれてありがとう」
シスイはそっとバシャーモの頭を撫でた。
そして綺麗に笑う。
「今日からあなたもここの家族よ。よろしくね、
青炎」
『セ・・・エン・・・・?』
「あなたの名前。綺麗な青い炎が見えた気がして・・」
目覚める前に見えた。
鼓動と一緒に青い混じりけのない綺麗な炎が。
「それがあまりにも綺麗だったから・・・」
『・・・・・』
青炎。
と何度も己の名前を呟く。
『ありがとう・・シスイ・・』
彼女は返事の代わりにまた綺麗に微笑んだ。
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