「と、父さん!!」



シスイはびっくりして、チハヤに駆け寄った。
シスイの無事を確認すると、チハヤは娘の頭を撫でた。



「よかった、シスイ。無事だったね。皆も大丈夫かい?」



彼らをぐるりと見渡し、問いかけた。
その言葉にその場にいた者たちは頷いた。



「おや、牙と奏は・・」
「複数いたので、数人追い払ってもらいました…」
「なるほどね」




そして。
まもなく奏と牙も無事帰り、珀はチハヤ達に事情を説明した。




「わかったよ。状況は読めた。いいかい、シスイ」




チハヤはシスイに目線を合わせた。
まるで幼い子供に言い聞かすように。




「タマゴを守ろうという責任感はとても大事だ。だけれど、その分危険もついてくる。わかるかい?」



シスイは頷いた。
チハヤはシスイとよく似た瞳をすっと細め、話を続けた。




「お前は本当に優しい子だ。だから、タマゴのことを優先したい気持ちはよくわかるよ。
でも、ここにいる全員。そうやっていつも危険を顧みないシスイのことをすごく心配している」




諭すように。
優しい声音で。
チハヤは言葉を紡いでいく。




「周りの気持ちも察しなさい。きっとシスイにはそれができるはずだよ」




にこり。
その笑った顔は実にシスイによく似ていた。
シスイはしゅんと眉を下げると、小さく謝った。




「ごめんなさい・・」
「いいさ。昔からお前は何でもかんでも首を突っ込んでいたからね」




今更どうこうと言うつもりもないよ。


チハヤはそう言い、癸が淹れた紅茶を啜った。




「これからまた何度かあの男が来るだろうね。注意しておくように、皆」




それぞれが頷いた。


そしてシスイも頷いた。















だから。
気を付けようと思った。










〜続く〜



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