一方。



「チッ…よくも…」



玄関先でアブソルである珀とハブネークが対峙している。
中では海輝と雷、そして獅闇がシスイを守るように構えていた。


もし中に入ってこられたとき。
その時に彼女を全力で守れるように。



「何が何でもそこを通してもらおう!!ハブネーク!!どくづき!」



毒をまとったそれが珀に襲いかかる。
しかし、珀はそれを華麗に避け、かまいたちを繰り出した。
ハブネークに直撃するが、なかなかのレベルらしい。
あまりダメージを食らっていないようだった。




「噂通り、本当によくできたアブソルだな・・・クロバット!!アリアドス!中に入って、タマゴを奪ってこい!」




何とも卑怯だ。
男は腰のモンスターボールを2つ掴み投げ、クロバットとアリアドスを出した。


クロバットとアリアドスは突進していきそうなスピードで珀に近づく。
珀はくっと歯を噛み締めた。
ここで無理に避けても、どちらかに当たるだろう。



チッ…私としたことが・・・!!




その時。
威力の高いかまいたちが飛んできた。





「なっ・・・!」
『!』



クロバットとアリアドスは途端に吹っ飛ばされ、目を回して倒れた。




『だらしがないぞ、珀』
「大丈夫かい、珀」




シスイによく似た瞳と髪の色。
そして、自分とよく似た毛並みを持つアブソル。
もう会わないと思っていた存在。



自分は知っている。
この人たちを。




『・・・チハヤ様・・・父さん・・・』




チハヤは珀ににこっと笑いかけ、すっと目を細め目の前の男を睨みつけた。




「うちの娘に何か?」



有無を言わせないオーラ。
空気。

全てが男を黙らせるには十分だった。




「くっ・・・!」




男は一つ舌打ちをすると、自分のポケモンをボールに戻し、走り去った。



チハヤはしばらくその方向を見据え、そして珀にまた目をやった。




「詳しくは家で聞こうかな」





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