嫌にインターホンの音が響いた。
全員、顔を強ばらせる。
シスイはすかさずタマゴを両手にぎゅっと抱えた。
玄関に近いところにいた奏が、ふっと動こうとしたが。
珀はそれを片手で制し、「私が」と玄関に向かった。
扉の前で珀は声を掛けた。
「どちら様でしょうか」
向こうで数人の気配がする。
珀はすかさず警戒した。
「こちらホウエンリーグの者ですが…シスイ様のご自宅はこちらで?」
「リーグの方々が一体何用ですか?」
珀は一切質問に答えず、淡々と返した。
向こうで微かにギリッと歯ぎしりする音が聞こえた。
珀はこれで確信した。
彼らは間違いなくシスイの言っていた男の一味だろう。
「シスイ様がリーグからタマゴを孵す任務を授かったとお聞きして、ご様子を見に来た次第です。よろしければ、お会いしたいのですが?」
珀は気づかれないように、ふっと息を吐いた。
アポすら取っていないのに、ここを通すわけにはいかない。
「お引き取りください。只今、シスイ様は体調を崩しておいでです」
「そうですか…では…」
珀の身体が光るのと同時。
“ハブネーク!あくのはどう!!!!”
ぶつかり合う音が響いた。
何か不可視の壁とぶつかり合う音。
土煙が晴れたその先には。
『物騒ですね…全く…』
“まもる”で何とか防いだアブソルの珀が。
「フン…さぁ、アブソル。タマゴを出せ。私たちはそれに用がある」
男はクツクツと笑い、珀に近づいていく。
『奏!!牙!!』
珀は叫んだ。
すると彼の横をものすごいスピードで何かが通り過ぎた。
途端。
男たちの悲鳴が。
「う、うああああああああ!!!!!」
「お、下ろせえええええ!!!」
宙ぶらりんの男たち。
奏と牙が後ろにいた男たちを掴み天高く飛んだ。
『ごめんねー・・・少しでも敵は少ないほうがいいしさ』
『貴様らはあそこにいるべき人間じゃないしな』
スッと。
奏たちは掴んでいた手を離す。
海に落ちる音と男たちの悲鳴が木霊した。
『急がなきゃ…シスイが…』
『ああ、行こう』
彼らは急いだ。
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