終末の足音
「ない、だと・・・?そんなはずはない。探せ。徹底的に。」
嫌な声だ。
「このミナモにあることは間違いないんだ――」
それは例えるなら…
「いいか・・・特徴は―――――…」
そう…
「“真っ赤なタマゴ”だ」
悪魔の囁き。
* * *
シスイは思わず出そうになった声をぐっと押し殺した。
真っ赤なタマゴを探している男。
そんな世にも珍しい真っ赤なタマゴなんて身の回りには一つしかない。
自分たちがリーグから授かった、あの“真っ赤なタマゴ”だ。
そう。
彼らが狙ってるのはシスイたちが預かっているあのタマゴに違いない。
「ど、うしよう…」
シスイは呟いた。
その顔にはいつものような冷静な様子は伺えなかった。
「大丈夫だ、シスイ。幸い、まだこっちには気づいてねーみたいだし。
今のうちにささっとここから移動して、家に帰ろう。で、珀たちにすぐ報告だ」
安心しろ、万が一何かあっても俺らがついてる。
獅闇はシスイの顔を覗き込み、静かに言った。
そして2人は男に注意しながら、さっとそこから去った。
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