「シスイ」
「あら、獅闇。具合はどう?」



一方。
家の中にいたシスイはようやく手紙を書き終え、先ほど雷を起こしてきたばかりだ。
するとそれに続くように獅闇が二階から下りてきた。


先日。
キャモメの総攻撃により、負傷した獅闇。
その傷もすっかりよくはなっていたのだが、念のため今日も安静らしい。




「もうすっかり。身体が鈍ってそうだ」



獅闇は凝った肩を回し、いつものようにダルそうにソファに座った。
それをシスイは苦笑して見届け、ガタッとイスから立ち上がった。



「さて」
「どっか行くのか?シスイ」
「うん、ちょっと手紙を出しにね。それからちょこっと買い物」



そう言うと、シスイは椅子に掛けてあったパーカーを羽織り、財布と手紙を持った。
すると獅闇がこちらに顔を向けた。



「付き合う」
「いいの?大丈夫?」
「ん。どーせ暇だし、傷も何ともないし」



身体も腐っちまいそうだしなと続けた。


そして獅闇はよっこらせと立ち上がって、エコバックを持った。
パチリスとピカチュウの姿が刺繍されたエコバック。
昔、珀が作ったものだ。



荷物、持ってくれるんだとさり気ない気遣いに感激しつつ。
シスイは先に出て行った獅闇の後についていった。



出先に庭で洗濯物を干していた珀に一言声を掛けた。



「珀、少し出かけてくるわね」
「!シスイ様、どちらへ」
「ちょっと買い物に。獅闇がついて来てくれるって言うから、珀は家の事しててほしいな」



その言葉に珀は小さく眉根を寄せるが、すぐに笑みを浮かべた。
彼女の隣にいる獅闇に視線を移す。


「・・かしこまりました。獅闇、頼みましたよ」
「了解」


シスイは珀の少し悔しそうな声を聞いて、誰にもわからないようにクスッと笑った。


* * *



やってきたのはいつもの市場。
いつもなら、珀と奏が行くのだが今日は獅闇と二人。

シスイはキョロキョロとお目当ての物を探す。



「何を買いにきたんだ?」



獅闇も物珍しそうに辺りを見回しながら、聞いた。



「晩御飯のお魚よ」



今日の晩御飯はムニエルですって。
シスイはそう言いながら、きょろきょろと視線を巡らしいつも行くお店を探す。



「あった」



行きましょう獅闇?


そう獅闇の方を向いて言い、彼女たちは足を進めた。





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