一方。


海輝の演奏に耳を傾けていた奏はいつもなら起きている牙とシスイと獅闇がいないことに気付き、キョロキョロと見回した。



「牙は朝早くから出かけていますよ、獅闇と一緒に」



弾き終えた海輝はそのままキッチンに入りながら言った。
棚から人数分の茶碗を取り出し、炊きたての白飯を盛っていく。


白米の匂いと焼き魚の香ばしい香りが漂い始めてきた。




「え、じゃあ、シスイは?」
「おはよう、奏」
「わっ!!」


いつの間にか奏の後ろにいたシスイはニコリと笑って、皆にも“おはよう”と挨拶をする。


雷も“おはよう!”といつものように彼女に抱きつく。
シスイはそんな雷の頭を撫でると、自分の席に座る。
海輝と珀はシスイに笑いかけた。




「おはようございます、シスイ」
「シスイ様、おはようございます。遅かったですね」
「び、びっくりしたー・・おはよう」



奏も苦笑してシスイに挨拶をする。



「夜更かしはするものじゃないわね。お陰で眠たい」
「夜更かししてたの?シスイ」
「ええ、この前買った本があまりにも面白くて。
時間も忘れて読み込んじゃった」



珀に出された紅茶を啜りながら、クスッと笑ったシスイ。
するとキッチンから海輝と珀がそれぞれご飯と味噌汁を持ってやってきた。



「・・・・」
「雷、ちゃんと食べてくださいね、ワカメの味噌汁」
「そうだよー雷。大きくならないぞ」



なすびとワカメが嫌いな雷。
彼は好き嫌いが激しくて、いつも珀と海輝に怒られている。




「雷、ちょっとずつ食べていこうね」



隣にいたシスイがニコッと笑って、“はい”と味噌汁のお椀を雷に渡した。


雷はそれを渋々受け取ると、クンクンと匂いを嗅ぐ。
おいしそうな香りなのに、どうしてもワカメが邪魔をする。


そして5人は席に着き、手を合わせ…


いただきます。


とそれぞれ食べだした。






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